2024年11月23日
労務・人事ニュース
甲信越地域の観光業、連休中に来客数が前年比150%増!土産品の需要が生産を超える状況とは?
景気ウォッチャー調査(令和6年10月調査)― 甲信越(現状)―(内閣府)
甲信越地域における令和6年10月の景気動向調査によると、各業種でさまざまな状況が報告されています。この調査は観光業や小売業、飲食業など幅広い分野での景気判断を取りまとめたものであり、地域経済の現状を詳細に把握するための有力な情報源となっています。
観光分野では、連休の影響もあり観光地での来客数や売上が近年まれに見る大幅な増加を記録しています。特に観光型旅館では、新型コロナウイルス感染症の影響で一時停滞していた同窓会や地域の集まりが再開されており、これに伴ってグループ旅行の規模が拡大しています。また、土産品の需要が高まり、生産が追いつかないほどの活況を呈しているとのことです。同様に、タクシー業界でも利用回数が増加しており、人々の動きが活発化していることが実感されています。一方、都市型ホテルでは来客数の減少が報告されており、販売単価や利用金額も低下傾向にあることから、業界間での格差が見られます。
小売業では、全体として売上が堅調に推移しているものの、顧客単価の上昇やイベント開催の影響による変動が見受けられます。例えば、スーパーでは前年比で売上が6%増加しながらも、来客数は10%減少しており、売上構成に変化が生じています。商店街の一部店舗では大型店との競争が厳しく、特定の顧客層を狙った外販が主体となるなどの適応が求められています。一方で、コンビニエンスストアでは24時間営業のドラッグストアの出現による競争激化が課題となっており、夜間の来客数減少が深刻化しています。
自動車販売店においては、一定の回復が見られる一方で、物価高や円安の影響を受け、新車契約が伸び悩んでいるとの報告があります。特に高単価の新型車の売上が好調であるものの、消費者心理が慎重であることが全体の販売動向に影響を与えています。これに関連して、自動車備品の販売でもタイヤ交換シーズンに向けた動きがあるものの、顧客は低価格の商品を選好する傾向が強まっています。
飲食業では、葬祭関連サービスが遺品整理や墓じまいなど他のサービス需要と連動して堅調に推移している一方で、一般レストランでは景気の不透明感が続いています。ファストフードやランチ営業に依存する店舗では、物価上昇の影響を価格に転嫁できず、来客数が減少しているケースが報告されています。また、観光業の一環として利用されるゴルフ場やボウリング場では、来場者数が増えているものの、収益確保のための価格設定が課題となっています。
製造業およびその他の業界では、業種によって状況が異なります。食料品製造業では、新酒の需要が寄与し、前年を上回る売上を記録しているものの、価格競争が依然として厳しい状況です。また、建設業では受注が順調に推移している一方で、人手不足が深刻化しており、今後の事業継続に課題が残されています。
総じて、甲信越地域の景気動向は業種ごとに異なる様相を呈しており、一部では活況が見られる一方で、物価上昇や競争激化の影響を受けて苦境に立たされている分野も存在します。観光やイベントによる地域活性化の可能性が期待される一方で、顧客ニーズや市場環境の変化に迅速に対応する柔軟な経営戦略が求められています。
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