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2025年2月24日

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甲信越地方の百貨店売上、前年比微増も目標値未達で苦戦続く(令和7年1月)

景気ウォッチャー調査(令和7年1月調査)― 甲信越(現状)―(内閣府)

甲信越地方の最新の景気動向調査によると、地域経済は業種ごとに異なる動きを見せている。観光業では、一部のスキー場やホテルでインバウンド需要が増加し、外国人観光客の来訪が活発になっているものの、特定地域に限られた恩恵にとどまり、広範囲にわたる経済効果は限定的とされる。例えば、観光名所や飲食店の中には外国人客の割合が9割を超える店舗もあり、訪日客の消費活動が一定の影響を与えていることが分かる。しかし、こうした恩恵を受けられない地域も多く、地方経済全体の回復にはさらなる施策が求められる。

一方で、国内の個人旅行需要も堅調に推移しており、年末年始の長期休暇の影響もあって、都市型ホテルでは例年よりも宿泊期間が長引く傾向が見られた。長期滞在を希望する個人旅行客が増えたことにより、ホテル業界の売上は前年を上回る水準となったものの、春節需要が限られる地域では、休暇後の集客に課題が残る状況となっている。

レジャー施設に関しても、年末年始にかけては好調な動きを示し、ボウリング場などの娯楽施設では最大9連休の影響で来客数が増加した。しかし、これは一時的な傾向であり、今後の持続的な集客にはイベントや新たな顧客層の開拓が不可欠とされる。

商業施設の動向を見ると、百貨店やスーパーでは、年明け以降の客足が予想を下回る状況が続いている。特に食品や生鮮品の販売が苦戦しており、価格高騰の影響を受けて消費者の購買意欲が低下している。百貨店では前年の地震による反動で売上が一定の回復を見せたものの、目標値には届かず、厳しい状況が続いている。また、コンビニエンスストア業界でも、3か月前と比べて販売量が伸び悩んでおり、客単価の上昇も限定的なものとなっている。

自動車販売業では、新型車のイベントがないことが影響し、販売台数が伸び悩む一方で、高額商品の購入意欲が低下しているため、売上の維持が課題となっている。また、車両の維持費が高騰していることから、消費者の購買行動がより慎重になっている傾向が見られる。こうした影響は、乗用車販売店や自動車部品販売店にも波及し、業界全体の売上が低迷する要因となっている。

住宅市場に目を向けると、購買意欲の低下が顕著であり、成約率の低下が報告されている。物価高やローン金利の上昇が影響し、住宅購入を検討する消費者が慎重な姿勢を崩さないため、販売促進のための新たな戦略が求められる。

製造業では、半導体関連需要の落ち込みが長引いており、業況の回復にはまだ時間を要すると見られている。特に鉄鋼業界では需要の低迷が続き、流通在庫が過剰になっている状況が指摘されている。一方、食料品製造業では、円安の影響で国産商品の需要増加が期待されていたものの、売上は微増にとどまり、利益率の低下が課題となっている。

人材市場においては、外食産業や宿泊施設などのサービス業では人手不足が深刻化しているものの、コスト高を懸念する企業が新規雇用を抑制する傾向もあり、求人数は横ばいまたは減少傾向にある。これは、労働市場の動向が今後の景気回復に影響を与える可能性があることを示唆している。

こうした状況を踏まえると、甲信越地方の景気は回復の兆しを見せる一方で、業種によって明暗が分かれる展開となっている。特に、インバウンド需要を活用できる企業と、国内消費の低迷の影響を受ける企業の格差が拡大していることが懸念される。今後の景気回復には、地域ごとの特性を活かした戦略が必要となり、観光業や製造業、小売業など幅広い分野で新たな施策が求められるだろう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ