2024年12月14日
労務・人事ニュース
男性肥満率31.5%、女性21.1%の現状を探る!令和5年国民健康調査の詳細
令和5年「国民健康・栄養調査」の結果(厚労省)
令和5年に実施された「国民健康・栄養調査」は、日本における国民の健康状態、栄養摂取、生活習慣などを明らかにし、健康増進に向けた基礎資料を得るために行われた重要な調査です。この調査は、健康増進法に基づき毎年実施され、国民の健康に関する総合的な課題を把握し、効果的な政策立案の礎を築くことを目的としています。本年度の調査では、6万1千世帯から無作為に抽出された300単位区を対象に実施され、幅広い年齢層の健康に関するデータが収集されました。
調査結果によると、国民の健康に関する課題はいくつか明らかになっています。特に肥満に関しては、男性の31.5%がBMI25以上であり、この割合は平成25年から令和元年にかけて増加した後、安定しています。一方で女性の肥満割合は21.1%で、この10年間で有意な変化は見られていません。さらに、やせ傾向(BMI18.5未満)にある男性は4.4%、女性は12.0%と、特に20代から30代の女性ではやせ傾向が顕著で、約20.2%に達しています。このデータは若年層の女性が健康的な体重を維持するための支援が必要であることを示しています。
栄養摂取に関する状況を見ると、野菜の摂取量が不足していることがわかります。20歳以上の国民の1日あたりの平均野菜摂取量は256グラムで、健康日本21(第三次)が推奨する350グラムに達していません。特に男性ではこの10年間で有意に減少しており、女性でも平成27年以降減少傾向が続いています。これは栄養バランスの取れた食生活の推進がさらに求められることを意味します。また、1日あたりの食塩摂取量は平均9.8グラムで、目標値の7グラムを大きく上回っている現状も指摘されており、塩分の摂取を減らすための具体的な施策が必要です。
身体活動の面では、運動不足が顕著に見られます。男性の1日あたりの平均歩数は6,628歩、女性は5,659歩と、いずれも過去10年間で減少しており、身体活動量の低下が懸念されています。運動の習慣を持つ人を増やすことが重要であり、日常生活に運動を取り入れる方法を広く普及させる必要があります。
喫煙に関しては、現在喫煙を習慣としている者の割合が15.7%で、男性が25.6%、女性が6.9%とされています。喫煙率は過去10年間で男女ともに減少傾向にありますが、禁煙をさらに促進する取り組みが求められます。特に若年層への啓発活動や禁煙支援策を充実させることで、喫煙率をさらに低下させる可能性が期待されています。
この調査では、地域社会とのつながりや共食の状況にも注目が集まりました。「お互いに助け合っている」と感じる人の割合は41.5%にとどまり、平成23年以降減少傾向が続いています。家庭内や地域での共食の頻度も低く、家庭で「ほとんど毎日」共食していると答えた割合は19.0%にとどまります。これらのデータは、地域社会とのつながりを深める施策が必要であることを示しており、家族や地域住民が一緒に食事を楽しむ場を増やす取り組みが求められています。
これらの結果を踏まえると、国民全体で健康的な生活習慣を実現するためには、食事、運動、地域の結びつきを見直し、強化することが求められます。具体的には、野菜摂取量や塩分摂取量の改善を目指した啓発活動の展開や、運動を日常生活に取り入れるための具体策の普及が重要です。また、地域コミュニティを活性化させ、共食の機会を増やすことで、国民の健康増進につながる施策を進める必要があります。
調査結果は、行政だけでなく、企業や個人にも活用できるデータです。例えば、企業の健康経営推進や地域イベントの企画において、このデータを参考にすることで、国民の健康意識を高める活動が可能となるでしょう。国民一人ひとりが健康の維持と増進を意識し、生活習慣を改善することが、最終的には社会全体の活力向上につながると期待されます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ