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2024年4月2日

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病気と仕事の間で揺れる従業員 現代の職場での両立支援の実態調査

治療と仕事の両立に関する実態調査(患者WEB調査)(JILPT)

現在、仕事を持ちながら治療を受けている人たちの実際の状況について理解を深め、従業員が直面している問題を解決するための取り組みが重要になっています。

この背景から、2022年12月15日から12月19日までの間に、様々な疾患に苦しむ就労中の人々を対象に、オンラインでの実態調査が行われました。この調査は厚生労働省からの要請に基づき実施され、15歳から64歳までの男女が対象でした。彼らは、がん、心疾患、脳血管疾患、肝炎、糖尿病、難病などの治療を経験しています。

調査結果によると、患者の多くが病気と仕事の両立に苦労していることが明らかになりました。具体的には、勤め先への相談や報告は主に所属長や上司に対して行われており、その割合は約62%でした。しかし、勤務先に一切相談や報告をしなかった人も約28%いることがわかりました。

支援を求めた人の中で、治療と仕事の両立支援を具体的に受けたのは約33%にとどまり、大半の人は特別な支援を求めていませんでした。さらに、勤務先で両立支援プランが策定されている割合は全体の約14%と低く、疾患別に見るとがん患者の中で約24%と最も高く、次いで脳血管疾患、心疾患と続きました。

また、病院や医療関係者からの支援についても調査され、治療中に主治医から就業に関する指導や意見を得た人は約32%でした。しかし、実際に休職して再び仕事に復帰した人々の中で、職場での働き方の見直しが行われたのは少数に留まり、約53%が変更がなかったと報告しています。

退職に関しては、現在も同じ勤め先で働いている人が約75%であり、疾病が原因で退職した人は約8%に達しました。退職理由としては、仕事を続ける自信がなくなった、治療に専念するため、仕事と治療の両立が難しいと感じたなどが挙げられました。

この調査は、今後の政策策定や企業の支援体制の構築に役立つ重要なデータを提供しています。治療を必要とする従業員を支えるために、より包括的で実践的なアプローチが必要であることが示されました。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ