2024年8月14日
労務・人事ニュース
石川県内の正社員有効求人倍率、前年同月比で0.15ポイント低下
最近の雇用失業情勢 令和6年6月分(石川労働局)
石川県内における最近の雇用情勢に関する報告書は、企業の採用担当者が現状を理解し、将来の採用計画を立てるための重要な情報源となります。令和6年6月の石川県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.42倍となり、前月と比べて0.06ポイント低下しました。これは、3か月ぶりの低下を示しています。一方、新規求人倍率は2.55倍で、前月から0.19ポイント上昇しており、2か月連続での上昇となりました。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.15倍で、前年同月と比べて0.15ポイント低下しています。新規求人の原数値は前年同月比で12.6%減少し、新規求職者の原数値も前年同月比で6.2%減少しています。これらのデータは、求人の減少と求職者数の減少が続いていることを示しており、特に石川県の求人市場における競争が激化している可能性があります。
地域別に見ると、公共職業安定所ごとの有効求人倍率は小松所で上昇し、金沢所、白山所、加賀所、七尾所、輪島所では低下しました。特に輪島所では有効求人倍率が顕著に低下しており、能登半島地震の影響が一部地域に見られることが示唆されています。石川県全体としては、求人が求職を上回って推移しているものの、特定の地域では弱さが見られます。
産業別の動向に関しては、建設業とサービス業の新規求人数が前年同月比で増加しています。建設業は21.7%増、サービス業は13.2%増加しました。一方で、製造業や医療・福祉業の新規求人数は大幅に減少しており、製造業は22.4%減、医療・福祉業は35.9%減少しています。これらの産業の動向は、各業界の経済環境や地域の特定の要因に大きく影響を受けている可能性があります。
新規求職者の実態を詳しく見ると、常用計で前年同月比6.3%減少しています。在職者は11.4%減少し、離職者も1.7%減少しました。特に情報通信業と教育・学習支援業での新規求職者数の減少が顕著であり、これらの分野での求人需要が低下していることが示唆されています。また、離職者の減少も見られ、雇用の安定性が高まっている一方で、新規採用の機会が減少している可能性があります。
企業別、地域別の有効求人倍率や就業地別有効求人倍率を比較すると、地域ごとの雇用環境の差異が明らかになります。受理地別有効求人倍率は、求人を受理したハローワークが所在する都道府県別に求人を集計したものであり、就業地別有効求人倍率は、求人票に記載された就業場所をもとに集計したものです。これにより、企業がどの地域で採用活動を行うべきか、どの地域に労働力の供給が不足しているかを把握することができます。
石川県内での求人倍率の推移を見ていくと、令和5年から令和6年にかけての変動が確認できます。特に、令和6年6月時点での新規求人倍率は2.75倍で、前年同月比で0.20ポイント低下しました。また、有効求人倍率は1.35倍で、こちらも前年同月比で0.19ポイント低下しています。これらのデータは、県内全体での求人数の減少と求職者数の増加を反映しており、今後の雇用市場の動向を予測する上で重要な指標となります。
最後に、就職の状況について触れると、令和5年度における就職件数は、正社員、パートタイムともに前年同月比で減少傾向にあります。これは、新型コロナウイルスの影響や地域経済の動向、特定産業の縮小などが影響している可能性があります。特に、パートタイムでの就職が減少していることは、非正規雇用者の雇用状況が不安定であることを示しています。
これらのデータと傾向を踏まえ、企業の採用担当者は、地域ごとの労働市場の動向を慎重に分析し、将来の採用戦略を構築する必要があります。特に、求人倍率の低下が見られる地域では、採用の難易度が高まる可能性があるため、採用手法や条件の見直しが必要になるかもしれません。一方で、新規求人数が増加している産業では、積極的な採用活動が求められるでしょう。
これらの情報は、採用計画を立てる際に非常に役立つものであり、今後の経済動向や地域ごとの特性を踏まえて柔軟に対応することが、成功する採用活動の鍵となります。採用担当者は、このような詳細なデータを基に、自社のニーズに最も適した人材を確保するための戦略を策定していくべきです。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ