2024年11月12日
労務・人事ニュース
石川県内企業の求人倍率4.24倍に上昇、令和7年卒業予定者の就職内定率も76.4%に改善
令和7年3月新規高等学校卒業予定者の就職内定率は 76.4%(令和6年9月末現在)(石川労働局)
令和7年3月に卒業予定の新規高等学校卒業者に関する就職内定状況が、石川労働局より発表されました。今回の報告によると、令和6年9月末現在の就職内定率は76.4%と、前年同月比で5.3ポイントの上昇が見られます。この調査は、石川県内の全ての高等学校(全日制、定時制、通信制、専攻科)および特別支援学校高等部を対象に、学校や公共職業安定所を通じて職業紹介を希望する生徒の就職状況を集計したものです。ただし、公務員や縁故による就職希望者は含まれていません。
具体的な数字を見てみると、令和6年9月末時点での就職希望者数は1,468人で、前年同月比で2.2%増加しました。そのうち、就職内定者数は1,121人であり、前年同期比で9.8%増という大きな伸びを記録しています。また、県内の企業からの求人数は6,217人に達し、前年同期比で2.3%増加しており、石川県内での求人需要も引き続き堅調であることが示されています。求人倍率は4.24倍と、前年同期比で0.01ポイント上昇しており、依然として高い競争率が続いています。
男女別の就職内定率を見ると、男性は77.9%、女性は74.0%と、男女間で若干の差が見られるものの、前年よりもいずれも改善傾向にあります。特に、県内での就職内定率は76.9%と前年よりも5.5ポイント上昇しており、県外に比べて県内での雇用機会が広がっていることが分かります。県外の就職内定率は69.6%で、こちらも前年から1.7ポイント上昇していますが、県内就職に比べるとやや低い水準に留まっています。
業種別に見ると、製造業や機械産業の求人が依然として強く、特に製造業からの求人は前年同期比で1.9%の増加を記録しました。さらに、医療・福祉分野からの求人も7.9%増加しており、これらの業種が石川県内における主要な雇用源となっていることが伺えます。一方で、繊維工業やサービス業ではやや伸び悩んでおり、特に繊維工業では前年同月比で27.9%の減少が見られました。
県内就職の動向をもう少し掘り下げると、就職希望者の93.0%が県内での就職を選択しており、県内での就業環境が充実していることが示されています。前年同月比で見ても、この割合はほぼ横ばいで推移しており、石川県内での就職を希望する生徒が引き続き多いことが分かります。
求人倍率についても注目すべき点があります。全体の求人倍率は4.24倍と、前年同期とほぼ同じ水準ですが、業種別に見るとばらつきが見られます。特に、情報通信業や金融業、運輸業といった業種では求人倍率が高く、競争が激化している一方で、生活関連サービス業や娯楽業などではやや低い倍率に留まっています。このように、業種によって雇用機会の差が生じていることが、石川県内の雇用市場の特徴の一つとして浮かび上がります。
石川県の企業からの求人数は、過去数年の間で増加傾向にあり、特に景気の回復が見られる令和6年には顕著な伸びが見られました。令和7年3月卒業予定者に対する求人が増加している背景には、少子化に伴う若年層の労働力不足が影響している可能性があります。また、コロナ禍からの回復を受けて、観光業やサービス業における求人も徐々に回復してきていることが、求人全体の増加に寄与していると考えられます。
一方で、求人倍率の上昇が続いていることから、企業側の人材確保が引き続き難航していることも示唆されています。このような状況においては、企業はより魅力的な条件を提示し、若年層の求職者を引きつける必要があります。特に、働き方改革やワークライフバランスの改善、リモートワークの導入といった柔軟な労働環境を提供することが、求職者にとって重要な要素となっているため、これらの点に注力する企業が今後ますます増えていくことが予想されます。
また、石川県内の企業にとっては、地域の特性を活かした採用戦略が求められるでしょう。例えば、地域密着型のビジネスモデルや地元の特産品を活用した新たな事業展開などが、若年層の関心を引きつける可能性があります。これに加えて、企業が地元の高校や専門学校と連携して、早期から人材育成プログラムを導入することも効果的です。このような取り組みによって、若年層の定着率を向上させ、地域全体の活性化にも寄与することが期待されています。
石川労働局のデータから見ると、令和7年3月卒業予定者の就職環境は改善傾向にあり、求人倍率や内定率の上昇がその証左です。しかし、業種によっては求人の競争が激化しているため、企業側は今後の採用活動において、より効果的な戦略を立てる必要があります。また、求職者側も、地元での就職に対する意識を持ちながら、自身のスキルを活かせる業種や職種を選択することが重要となります。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ