2024年11月12日
労務・人事ニュース
石川県新規卒業生の就職内定率71.3%に上昇、大学生は77.0%で減少傾向も
令和7年3月新規大学等卒業予定者の就職内定状況等(10月1日現在)(石川労働局)
令和7年3月に卒業予定の大学や短大、高専などの新規卒業生に関する就職内定率が発表されました。10月1日時点でのデータによると、全体の就職内定率は71.3%で、前年同期と比べて1.3ポイント上昇しています。このデータは石川労働局がまとめたもので、卒業予定の学生数や就職希望者数に基づいて集計されています。
特に注目すべきは、大学卒業予定者の就職内定率が77.0%となり、前年よりも1.2ポイント低下している点です。就職希望者数は4,283人で、前年より2.8%減少しており、就職内定者数も同様に減少しています。大学の卒業予定者に関しては、県内での就職内定者数が全体の1,196人となり、前年と比較して4.5%減少していることがわかります。これは、地域内での求人状況や業界ごとの雇用環境に影響を受けている可能性があります。
一方で、短期大学卒業予定者の就職内定率は大きく改善しており、43.4%に達しました。前年同期から6.2ポイントの上昇を記録しており、これは特に女性の就職内定率が顕著に改善したことによるものです。短期大学の場合、県内の就職内定者数は144人で、前年から3.4%の減少が見られたものの、全体的には就職状況が良好な方向に向かっています。
さらに、専修学校などの就職内定率は60.9%で、前年より3.5ポイントの上昇が見られました。専修学校の学生数や就職希望者数は若干減少しているものの、就職内定者数の増加がこの内定率の上昇につながっています。このように、学校別に見た場合、各校の特徴に応じた雇用環境の違いが浮き彫りになっています。
高等専門学校の卒業予定者の就職内定率は92.9%と非常に高い水準を維持していますが、前年より1.3ポイント低下しています。高専の就職希望者数や就職内定者数はわずかに減少しており、特に県内の就職内定者数が前年に比べて57.1%も減少していることが課題として挙げられます。この減少は、県外の企業が高専卒業生を積極的に採用していることが要因と考えられ、今後の動向が注目されます。
全体として、新規卒業生の就職内定率は、各学校や地域ごとに異なる状況が見られますが、総じて前年よりも改善傾向にあることがわかります。しかし、就職希望者数や内定者数の減少が続いており、特に地方での雇用機会の不足や県内企業の求人の減少が課題として浮かび上がっています。このため、今後は地方の産業振興や雇用の創出が求められると考えられます。
調査データからもわかるように、石川県内での就職内定状況は他の地域に比べて若干厳しい面があるものの、一部の学校では内定率が改善している点は評価すべきでしょう。特に短期大学や専修学校の内定率が前年よりも上昇していることから、これらの学校が提供する教育や職業訓練が効果を上げている可能性があります。また、高等専門学校についても依然として高い内定率を維持しており、技術職に強い高専生の需要が高いことが裏付けられています。
これらのデータは、企業の採用担当者にとっても重要な情報源となります。新卒採用を計画する企業にとって、各学校ごとの内定率や就職希望者数の動向を把握することで、効率的な採用活動を行うことが可能となります。また、地域ごとの雇用環境や産業構造の変化に応じた採用戦略の見直しも必要です。特に石川県内では、県外への就職希望者が増加している傾向が見られるため、地域に根付いた人材を確保するための取り組みが急務となっています。
最後に、新規卒業生の就職活動において、引き続き大学や専修学校、高専などの教育機関と企業との連携が重要です。就職内定率が高い学校では、企業との強い結びつきや実践的なカリキュラムが効果を発揮していることが多く、これを他の学校にも広げることが求められます。また、地方での雇用機会を増やすためには、地域の企業や自治体が一体となって、若年層の定着を促進する施策を推進することが必要です。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ