2024年11月12日
労務・人事ニュース
石川県金沢所で有効求人倍率3.42倍、地域格差広がる
最近の雇用失業情勢 令和6年9月分(石川労働局)
2024年9月における有効求人倍率は、1.53倍となり、前月と比べて0.04ポイント上昇しました。この結果、3か月連続で求人倍率は増加しており、国内の雇用市場は引き続き安定した動きを見せています。有効求人数は27,056人で、前月比1.5%の増加。一方、有効求職者数は17,725人で、こちらは1.3%の減少を記録しました。この傾向は企業が積極的に新規雇用を展開している一方、求職者数が減少していることを示しており、雇用市場における需給バランスの変化が見られます。
また、新規求人倍率(季節調整値)は2.85倍で、前月と比べて0.22ポイント上昇。これで5か月連続の上昇となっており、新たな求人案件の増加が継続的に進行しています。ただし、新規求人(原数値)は前年同月と比べ2.1%の減少を記録しており、全体的な雇用情勢に若干の波があることがわかります。新規求職者(原数値)も同様に、前年同月比で9.5%減少しました。特に新規学卒者を除いた場合、この傾向が顕著となっています。
職種別の動向をみると、正社員の有効求人倍率(原数値)は1.28倍で、前年同月と比べ0.03ポイント上昇しました。企業が正社員を求める姿勢は依然として強いものの、正社員の新規求人案件は前年同月比で2.1%の減少を見せています。これに対して、パートタイムの有効求人倍率も引き続き高い水準を保っており、特に飲食業やサービス業における求人需要が顕著です。
地域別に見た雇用状況では、公共職業安定所別の有効求人倍率に地域差が見られます。例えば、石川県では、金沢所の求人倍率が3.42倍と全国的に高い水準にあり、前年同月比で0.39ポイント上昇しています。一方で、能登半島地震の影響を受けた一部地域では、求人倍率が低下していることも確認されており、地域間での雇用格差が生じています。
産業別の新規求人動向では、建設業が前年同月比で19.4%の増加を記録しました。特に地域インフラの整備や災害復旧に伴う需要がこの数値に影響を与えています。運輸業・郵便業も14.7%増加しており、流通業界の需要が引き続き強いことが示されています。一方で、製造業は9.5%減少、医療・福祉分野も8.8%減少しています。特に医療福祉分野では、求人が減少傾向にあるものの、長期的に高い求人需要が維持されていることが特徴的です。
新規求職者の動向に目を向けると、全体として前年同月比で8.7%の減少が見られました。特に、在職者は前年同月比13.6%減少し、離職者も6.4%減少しています。業界別では、建設業が19.4%の増加を見せる一方、製造業は9.5%減少、情報通信業は11.9%減少しました。これらのデータは、IT関連産業の人材需要が一時的に落ち着いていることを示唆しており、製造業も同様に人材の新規採用に消極的であることが伺えます。
地域における雇用の動向を見ると、石川県全体の求人倍率は1.53倍で、求人が求職を上回る状況が続いています。しかし、能登半島地震の影響が一部の地域に弱さをもたらしているとされており、特定の地域においては求人倍率が低下している現象が確認されています。このように、地域間の求人倍率に差が生じていることは、企業が地域別に異なる採用戦略を求められている状況を反映しています。
この雇用情勢を踏まえると、企業の採用担当者は、特定の職種や地域において競争力を持つために、より柔軟で迅速な採用計画を立てる必要があるでしょう。求人倍率が上昇している業界や地域では、優秀な人材を確保するために、労働条件の見直しや福利厚生の充実、リモートワークの導入など、時代に合わせた採用手法の改善が求められます。一方、求人倍率が低下している地域では、地域の魅力を発信し、地方移住を支援する取り組みを行うことが、今後の採用成功の鍵となるかもしれません。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ