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2024年4月2日

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社員の健康と企業の持続可能性を両立させる 2024年における企業の治療支援制度の実態とその影響分析

治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)(JILPT

2024年3月26日、厚生労働省労働基準局安全衛生部の依頼を受けて行われた企業調査により、病気治療と仕事の両立支援の現状が明らかになりました。本調査は、2017年に行われた同様の調査を基に、さらなる分析と評価を目的としています。

今回は、がんや脳血管疾患、心疾患、肝炎、糖尿病、難病などの患者がどのように働き続けているかを全国の企業を対象に調べました。調査は2022年12月2日から21日まで行われ、約20,000社の中から4,721社の回答が得られました。

調査結果から、柔軟な働き方を支援する制度が多くの企業で導入されていることが分かりました。特に時間単位の休暇制度や半日休暇制度を持つ企業が61.9%と最も多く、これらの制度を利用して病気の治療や療養が可能と答えた企業の割合も高いことが判明しました。

さらに、柔軟な勤務制度を導入した企業では、職場での協力が増えたり、多様性の受容が進んだりと、ポジティブな変化が見られました。これにより、社員の信頼感が高まり、疾患を理由とした離職率の低下や事業の持続可能性が向上したと報告されています。

しかし、調査からは改善が必要な点も浮かび上がりました。多くの企業で治療と仕事の両立支援に関するガイドラインの認知度が低く、制度の導入や実施に関してもまだ十分とは言えない状況です。特に小規模な企業では、実施している割合が低く、具体的な支援策の策定が求められています。

疾患を持つ社員の就労状況についても調べられ、多くの場合、通院治療をしながら働き続けているという結果が得られました。しかし、脳血管疾患やがんなどの重い疾患を抱える社員は休職して治療を受けることが多いことも明らかになりました。

この調査は、治療を必要とする社員と企業がどのように支援し合えるか、そしてどのような制度が実際に役立っているのかを理解するための重要な一歩です。今後、企業はこのデータをもとに、より効果的な両立支援策を検討し、実施することが期待されています。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ