2025年1月7日
労務・人事ニュース
神奈川県内の高年齢者雇用、99.9%の企業が65歳までの雇用を確保(令和6年6月1日時点)
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します(神奈川労働局)
神奈川労働局が公表した令和6年の「高年齢者雇用状況等報告」の結果から、日本の高年齢者の雇用状況とその施策に関する現状を明らかにする内容をお伝えします。本調査は、常時雇用する労働者が21人以上の神奈川県内の企業11,145社を対象に行われ、高年齢者の雇用確保の取り組みについて詳細に分析しています。この取り組みは、生涯現役社会の実現を目指し、企業が65歳までの雇用確保措置や70歳までの就業確保措置を講じることを促進するものです。
調査結果によると、65歳までの雇用確保措置を講じている企業は全体の99.9%に達し、中小企業でも99.9%、大企業では100%という高い水準が維持されています。この措置は「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの方法を用いて実現されています。特に「継続雇用制度の導入」が最も多く採用されており、全体の66.1%を占めていますが、この割合は前年より1.6ポイント減少しました。一方、「定年の引上げ」を実施している企業の割合は29.5%で、1.6ポイントの増加が見られました。
次に、70歳までの就業確保措置についての状況ですが、これを実施している企業の割合は29.9%で、前年より2.1ポイント増加しています。企業規模別に見ると、中小企業での実施割合が30.4%、大企業では23.4%と、規模が大きいほど導入が進みにくい状況がうかがえます。これらの措置には、従来の「定年の引上げ」や「継続雇用制度の導入」に加えて、「業務委託契約を締結する制度」や「社会貢献事業に従事できる制度」などの新たな方法も含まれています。
また、企業における定年制の状況を詳しく見ると、65歳以上の定年を定める企業は全体の33.9%で、前年より1.7ポイント増加しました。その内訳では、65歳定年の企業が26.4%、66~69歳定年の企業が0.8%、70歳以上の定年を設けている企業が2.3%となっています。特に、定年を60歳とする企業は全体の63.5%を占めていますが、これは1.6ポイント減少しており、高年齢者の就業機会を拡大する方向へのシフトが進んでいると言えるでしょう。
この報告は、企業規模や産業別の詳細なデータも提供しており、各分野における高年齢者雇用の進展状況を示しています。例えば、サービス業では就業確保措置の実施割合が高く、特に「社会貢献事業」や「業務委託契約」などの柔軟な措置が採用されています。一方、製造業や建設業などの分野では、物理的な労働条件や業務の特性が要因となり、高齢者雇用の実施率がやや低い傾向にあります。
このような現状を踏まえ、神奈川労働局では、措置を実施していない企業に対して、ハローワークを通じた指導や助言を行い、高年齢者の安定した雇用環境の確保を支援しています。これにより、地域全体での生涯現役社会の実現がさらに進むことが期待されています。
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ