2025年3月5日
労務・人事ニュース
福井・島根・大阪の漁業振興策が高評価、「浜の活力再生プラン優良事例表彰」受賞者決定(令和6年度)
「令和6年度浜の活力再生プラン優良事例表彰」受賞者の決定及び表彰式の開催について(水産庁)
水産庁は、全国各地で実施されている「浜の活力再生プラン」の中から、漁業所得の向上や地域活性化の優れた事例を表彰する「令和6年度浜の活力再生プラン優良事例表彰」の受賞者を決定した。本表彰は、他の地域にとって参考となる模範的な取り組みを行った地域に贈られるもので、農林水産大臣賞および水産庁長官賞が選定された。表彰式は令和7年3月10日(月)に、農林水産省本館7階講堂で開催される予定であり、一般に公開される。
「浜の活力再生プラン」は、水産業および漁村地域の活性化を目的とし、漁業者自らが収益向上やコスト削減を実現するための具体的な施策に取り組む制度である。全国の水産業の持続的発展を図るため、漁業所得の向上に関して特に優れた成果を上げた地域を表彰し、その取り組みを広く共有することで、全国的な底上げを目指している。
令和6年度の表彰では、福井県の「高浜地区地域水産業再生委員会」が農林水産大臣賞を受賞した。この地域では、大型・小型定置網漁業、刺網・延縄漁業、採貝藻漁業、養殖業などが行われている。しかし、漁家所得の伸び悩みや漁業者の減少、高齢化といった課題があり、それに対応するために「コンパクトシティ」構想を取り入れたまちづくりを推進している。この構想では、漁業と観光を連携させた6次産業化を進めることで、地域経済の活性化を図っている。地域商社を活用し、加工場を設置することで、漁業者の所得向上と雇用の創出にも取り組んでいる。このような取り組みが評価され、農林水産大臣賞の受賞に至った。
水産庁長官賞には、島根県の「宍道湖流域水産業再生委員会」と、大阪府の「大阪市地区地域水産業再生委員会」の2団体が選ばれた。島根県の宍道湖では、シジミ漁業が盛んであり、全国1位の漁獲量を誇る。しかし、近年は貧酸素化や海藻・水草類の異常繁茂といった環境変化により、シジミ資源の維持が課題となっていた。この問題に対処するため、漁場の保全や資源管理を徹底し、シジミの品質向上にも取り組んできた。さらに、冷凍シジミのオンライン販売を開始し、販路の多角化を図ることで、地域経済の発展に貢献している。これらの取り組みが評価され、水産庁長官賞の受賞に至った。
また、大阪市地区では、イワシシラス、イカナゴを対象とした船びき網漁業のほか、ウナギやシジミ漁業が行われている。2025年に大阪・関西万博が開催される予定であり、これを契機に地元の漁協が中心となって大阪湾や淀川の生産性向上を目指す活動を展開している。さらに、大都市圏に位置する大阪湾や淀川産の魚介類の認知度向上や販路拡大に取り組み、地元の漁業資源を活かした天然ハゼやウナギ料理の普及を推進している。これらの施策により、漁業所得の向上と地域の水産業の振興が期待されている。
表彰式は、令和7年3月10日(月)15時00分より農林水産省本館7階講堂で開催される。所要時間は1時間程度を予定しており、受賞団体の紹介や表彰状の授与が行われる。表彰式は公開形式で実施される。水産業の未来を担う取り組みが広く共有され、全国の漁業者や関係者が参考にできる機会となることが期待される。
日本の水産業は、資源管理や環境変化への対応など多くの課題に直面しているが、こうした優れた取り組みが全国に広がることで、持続可能な水産業の発展につながる。本表彰制度は、各地の成功事例を広めることで、全国的な取り組みの底上げを促す重要な役割を果たしている。今後も、漁業所得の向上や地域活性化を支援するために、全国の水産業関係者が連携し、新たな取り組みを進めていくことが求められる。
⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ