労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 福井県の有効求人倍率1.85倍、求人が求職を大幅に上回る雇用動向とは

2024年8月14日

労務・人事ニュース

福井県の有効求人倍率1.85倍、求人が求職を大幅に上回る雇用動向とは

県内の雇用失業情勢(令和6年6月分)(福井労働局)

福井労働局による令和6年6月の労働市場に関する報告書には、福井県の雇用情勢が詳細に分析されています。この報告によれば、福井県の有効求人倍率は1.85倍と全国平均を上回っており、求人が求職を大きく上回って推移しています。このような状況は、県内の企業が労働力を求めている一方で、求職者が少ないことを示しています。しかし、物価上昇や経済的な不確実性が雇用に与える影響にも注視する必要があると指摘されています。

具体的には、有効求人数は前年同月比で5.3%減少し、20,050人となりました。特に製造業においては、前年同月比で20.3%の減少が見られ、地場産業の繊維工業や眼鏡製造業でも大幅な減少が報告されています。これにより、製造業の新規求人数は全体として12.8%の減少となりました。一方で、医療・福祉や教育・学習支援業では新規求人数が増加しており、これらの分野が福井県の労働市場で成長していることが示唆されています。

一方、有効求職者数は前年同月比で1.8%減少し、11,430人となりました。年齢別に見ると、24歳以下の若年層や25歳から34歳までの求職者の減少が顕著であり、特に65歳以上の高齢者の求職者が増加している点が特徴的です。これは、少子高齢化の進行や若年層の県外流出が要因として考えられます。また、求職理由としては、離職者の中で事業主都合による離職が減少している一方、自己都合による離職が増加していることが報告されています。

新規求人数に関しては、前年同月比で14.8%減少し、6,655人となりました。この減少は、建設業や製造業など複数の産業での求人が減少したことに起因しています。しかし、職業紹介・労働者派遣業など一部のサービス業では増加が見られ、労働市場の構造変化を反映しています。

福井県内の地域別では、三国地域の有効求人倍率が2.13倍と高く、次いで福井市の1.76倍、大野市の1.65倍となっています。これらの地域では求人が多く、求職者にとっては選択肢が広がる一方で、企業にとっては労働力確保が困難であることが示唆されています。

全体的に、福井県の労働市場は求人が豊富であるものの、産業別・地域別に見ると求人動向にはばらつきがあり、特定の産業や地域では求人が減少傾向にあります。また、求職者の年齢構成や求職理由の変化も労働市場に影響を与えており、特に高齢者の増加や自己都合による離職が増えている点が注目されます。

今後の見通しとしては、福井県の労働市場は引き続き求人が求職を上回る状況が続くと予想されますが、経済環境の変化や物価上昇が企業の雇用意欲に与える影響については引き続き注視する必要があります。また、特定の産業での求人減少が続く場合、地域経済への影響が懸念されるため、労働市場の変動に対応する柔軟な政策対応が求められます。

企業の採用担当者にとっては、労働力確保が課題となる一方で、求職者のニーズや動向を的確に把握し、柔軟な採用戦略を構築することが重要です。特に、若年層の採用や高齢者の活用など、多様な人材を積極的に採用することで、持続可能な企業運営を目指すことが求められています。

このように、福井県の労働市場は求人が豊富でありながらも、産業構造の変化や人口動態の変動によって、その動向は複雑化しています。企業にとっては、これらの動向を踏まえた柔軟な採用戦略と労働環境の整備が求められる時代と言えるでしょう。

⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ