2025年1月4日
労務・人事ニュース
福岡の高齢者雇用状況が改善!65歳以上就業率は99.9%の高水準
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」集計結果(福岡労働局)
令和6年12月20日、福岡労働局は高齢者の雇用状況に関する報告を取りまとめました。この報告では、65歳以上の高齢者が安定して就業できる環境を確保するための措置が企業でどのように実施されているかについて明らかにされています。この調査対象となったのは、従業員21人以上の企業9,611社であり、中小企業は8,998社、大企業は613社に分類されます。調査結果は、65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置の二つの観点で取りまとめられています。
まず、65歳までの雇用確保措置についてです。調査では99.9%の企業がこの措置を実施済みであり、これは前年と変動がありませんでした。中小企業では同じく99.9%、大企業では100%がこの措置を実施していることが確認されました。これらの措置には、「継続雇用制度の導入」「定年の引き上げ」「定年制の廃止」が含まれます。この中で最も多いのは「継続雇用制度の導入」であり、全体の67.4%を占めています。しかし、前年と比較して1.8ポイント減少している点が注目されます。一方、「定年の引き上げ」を採用する企業は28.6%で、こちらは1.8ポイント増加しました。「定年制の廃止」を選択している企業は4.0%で、前年と同水準です。
次に、70歳までの就業確保措置について見ていきます。この措置を実施している企業は全体の32.5%で、前年より1.9ポイント増加しています。中小企業では33.1%、大企業では24.0%がこの措置を講じていると報告されています。この措置には「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「業務委託契約制度の導入」「社会貢献事業への従事を可能にする制度の導入」などが含まれます。この中で最も多いのは「継続雇用制度の導入」であり、25.9%を占めています。この制度は前年より1.8ポイント増加しており、企業規模を問わず広く採用されていることがわかります。
また、企業全体における定年制の状況についても報告されています。定年を65歳以上とする企業は32.6%で、前年より1.9ポイント増加しました。このうち、65歳を定年とする企業は24.8%、70歳以上を定年とする企業は2.5%となっています。一方で、定年制そのものを廃止している企業は4.0%で変動がありませんでした。
さらに、継続雇用制度の具体的な内容についても詳細が明らかにされています。この制度を導入している企業のうち、希望者全員を対象とする制度を採用している企業は84.9%にのぼり、前年より1.6ポイント増加しました。一方、経過措置に基づき対象者を限定している企業は15.1%で、こちらは減少傾向にあります。大企業においては、この限定対象の割合が29.2%となっており、中小企業の86.1%と比較すると低い割合にとどまっています。
今回の報告から、高齢者の雇用確保に向けた企業の取り組みが着実に進んでいることがわかりますが、一部の分野では課題も残っています。例えば、70歳までの就業確保措置においては、未実施の企業が依然として多く存在しており、特に中小企業における継続雇用制度の適用範囲の見直しが課題として浮上しています。また、社会貢献事業や業務委託契約を活用した就業機会の拡充については、未だ導入が進んでいない状況です。
厚生労働省は今後も、生涯現役社会の実現を目指し、これらの措置を未実施の企業に対して必要な指導や助言を行う予定です。これにより、高齢者がさらに働きやすい環境を整備し、企業と労働者双方にとってメリットのある仕組みを構築していく方針です。
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ