2024年8月22日
労務・人事ニュース
福島県 令和6年新規高卒者の就職内定率99.9%、求人倍率2.79倍で選択肢広がる
令和6年3月新規高等学校卒業者の職業紹介状況(令和6年6月末現在)(福島労働局)
福島労働局がまとめた令和6年3月卒業の新規高等学校卒業者に関する職業紹介状況について、令和6年6月末時点でのデータを基に詳細な分析を行います。この報告書は、高校卒業生の就職内定状況や求人倍率、県内外の就職動向についてまとめたもので、企業の採用担当者にとって非常に有益な情報が含まれています。
まず、令和6年3月に卒業した高等学校卒業生の就職内定率は99.9%で、前年同期と比較して増減はありません。これは、ほぼ全ての卒業生が就職内定を得ていることを示しており、高校生の就職環境が非常に良好であることを意味します。一方で、就職内定者数は3,361人で、前年同期比で5.2%の減少となっています。これに伴い、就職未内定者数は4人と、前年同期比で300.0%の大幅な増加を示していますが、数値としてはごくわずかであり、全体としては依然として高い就職率を維持しています。
次に、求人数に関しては9,402人で、前年同期比で5.4%の増加となりました。特に、製造業や卸小売業、医療・福祉分野での求人が増加しており、これらの業種が新規高卒者に対して積極的な採用を行っていることが分かります。具体的には、製造業の求人数は3,733人で前年よりも274人増加し、全体の39.7%を占めています。また、建設業は1,869人、卸小売業は1,114人の求人を出しており、それぞれの分野での人材需要が引き続き高まっていることがうかがえます。
県内受理求人への就職割合は71.4%で、前年同期比で2.7ポイント減少しています。これは、高卒者が県外へ就職する傾向がわずかに増加していることを示していますが、依然として県内就職希望者が多いことを反映しています。特に福島県内では、地域別に見ると中通り地域が最も多く、次いで浜通り地域、会津地域の順となっています。これらの地域での就職活動が活発であることが伺えます。
求人倍率に関しては、2.79倍と前年同期比で0.28ポイント上昇しています。これは、求職者1人に対して約2.8件の求人があることを意味し、高校生にとって多くの選択肢が提供されていることを示しています。特に、医療・福祉分野での求人倍率は2.86倍と高く、これらの分野での人材不足が浮き彫りになっています。
また、産業別に見た場合、製造業の求人が全体の39.7%を占め、次いで建設業が19.9%、卸小売業が11.8%となっています。これらの業種は依然として新規高卒者の主要な雇用先となっており、特に製造業においては、地域の経済を支える重要な産業であることが伺えます。一方で、情報通信業や金融業、学術研究、専門・技術サービス業といった高度なスキルを要する職種では求人が限られており、これらの分野での人材供給が不足している状況も読み取れます。
福島県内の就職内定率が高い一方で、県外への就職内定率も上昇しており、若者の県外流出が引き続き課題となっています。このため、県内の魅力的な職場環境を整備し、地域に根付いた雇用を創出する取り組みが求められます。さらに、就職活動を通じて得られる地域別のデータを活用し、各地域の産業構造や雇用状況に合わせた対策が重要です。
企業の採用担当者にとって、この報告書のデータは、若年層の就職状況を把握するための貴重な指標となります。特に、求人倍率や産業別の求人動向を分析することで、自社の採用戦略を効果的に見直すことが可能です。また、新規高卒者の県内外就職の動向を理解することで、地域経済の発展や持続可能な雇用の創出に向けた取り組みを支援するための方針を策定する際にも役立つでしょう。
総じて、令和6年3月卒業の新規高卒者の就職状況は非常に良好であり、多くの卒業生が希望する職業に就職できていることが確認されました。一方で、若干の課題も見受けられるため、これらを解消するための継続的な支援が求められます。
⇒ 詳しくは福島労働局のWEBサイトへ