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2025年1月13日

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第三セクターのリスク管理が明らかに、26.6%が健全化策定要件に該当

第三セクター等について地方公共団体が有する財政的リスクの状況等に関する調査結果の概要(総務省)

令和6年12月25日に発表された第三セクター等における地方公共団体が抱える財政的リスクに関する調査結果について、令和6年3月31日時点のデータをもとに詳しく分析を行った。この調査は、第三セクター等が地域住民の生活を支える重要な役割を担いながらも、その経営状況が悪化することで地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすリスクが懸念される現状に対応するために実施されたものである。

今回の調査では、地方公共団体が関与している994法人が対象となった。この内訳は第三セクターが614法人、地方三公社が380法人で、いずれも前年度より法人数が減少している。特に第三セクターは24法人の減少、地方三公社は18法人の減少が確認された。この減少傾向は、経営効率化や統合・廃止が進んでいる現状を反映していると考えられる。一方で、経営健全化方針の策定が必要とされた法人は264法人で、全体の26.6%を占める。これも前年度比で18法人減少している。

経営健全化方針の策定が必要とされる法人については、具体的な基準が示されている。例えば、債務超過状態の法人、実質的に債務超過とみなされる法人、地方公共団体の標準財政規模に対する損失補償や債務保証が一定割合を超える法人などが対象となる。この中で最も多いのは債務超過法人で、全体の約18%を占めている。

さらに、経営健全化方針の策定を必要とする地方公共団体の数は1,112団体で、これも前年から36団体減少した。その中でも、特に債務超過法人に関連する団体が250団体と最も多く、土地開発公社の保有資産が長期にわたって売却されていないケースや、損失補償などの負担割合が高い団体も含まれている。

この調査から得られる重要なポイントとして、地方公共団体が負う財政的リスクの「見える化」が進んでいる点が挙げられる。調査結果は法人ごとや地方公共団体ごとに詳細にまとめられ、公表されている。これにより、地方自治体や関連法人が経営改善に向けた具体的な対策を立てやすくなった。また、総務省は経営健全化方針の策定を求めるだけでなく、実施状況の公表や支援策を推進しており、透明性の向上を図っている。

第三セクターの経営が地方財政に与える影響は無視できないが、調査結果を見る限り、改善の兆しもある。法人数やリスクのある団体数の減少は、一定の成果を示しているといえる。今後は、さらなるリスク低減と持続可能な経営モデルの構築が課題となる。特に、人口減少や地域経済の縮小が続く中で、地域の実情に即した第三セクターの在り方を模索する必要がある。

調査結果は、地方公共団体にとってだけでなく、企業や投資家にとっても関心の高い内容だ。財政リスクの管理と透明性向上は、地域社会の安定的な発展に寄与するとともに、企業が地域と協力する機会を広げる可能性を持つ。このような観点から、調査結果は重要な意味を持つといえる。

94.4%の地方公共団体が経営健全化方針を策定済み、第三セクター調査結果

令和6年3月31日時点での第三セクター等に関する地方公共団体の経営健全化方針の取組状況について、総務省が発表した調査結果を詳述します。この調査は、財政的リスクが存在する第三セクター等に対して、地方公共団体がどのように経営健全化に取り組んでいるかを評価し、今後の改善に向けた基礎資料を提供する目的で実施されました。

まず、経営健全化方針の策定状況についてです。調査結果によれば、令和6年6月1日時点で延べ288団体が経営健全化方針を策定済みであり、これは全体の94.4%にあたります。一方で、未策定の団体は17団体で、全体の5.6%を占めています。策定済み団体の中には、法人が既に整理や清算されたため、策定の必要がなくなったケースも含まれています。

次に、経営健全化方針に基づく取組状況についてです。令和5年度決算データを基に分析したところ、策定要件に該当する第三セクター等の状況が改善した地方公共団体は延べ150団体に達しました。これは全体の49.2%であり、前回調査時と比較して改善した団体が一定数存在することを示しています。一方、状況が悪化したとされる団体は155団体(50.8%)であり、依然として改善の余地があることが明らかになりました。

調査対象となった団体は、地方公共団体が一定の関与をしている法人に限られています。これには、債務超過法人や地方公共団体が財政的支援を行っている法人が含まれ、それぞれの決算データを基に判断されています。経営健全化方針の策定とその実施状況を定期的に追跡することで、リスクの高い法人に対する透明性と責任感が高まると期待されています。

また、調査結果には前回調査との比較も含まれています。令和5年6月1日時点では策定済み団体が297団体であり、未策定団体は9団体でした。この時点では策定率が97.1%に達しており、今回の調査と比較して若干の減少が見られました。これにより、各地方公共団体が経営健全化方針の策定を進める一方で、一部の団体では新たな課題が発生していることが示唆されます。

経営健全化の取組は、財政的リスクの軽減だけでなく、地域経済や住民生活の安定にも直結します。そのため、地方公共団体が第三セクター等と連携しながら継続的に改善を進めることが重要です。総務省の調査と公表は、このプロセスを支援する重要な役割を果たしており、今後も透明性と実効性のある施策が求められます。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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