労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 精神保健福祉手帳交付者数、前年度比7.7%増の約145万人に

2024年11月9日

労務・人事ニュース

精神保健福祉手帳交付者数、前年度比7.7%増の約145万人に

令和5年度衛生行政報告例の概況 精神保健福祉関係(厚労省)

令和5年度における精神保健福祉関連の統計データを基に、精神障害者の入院や保健福祉手帳の交付、さらには相談件数についての重要なポイントをまとめます。この報告書は、精神保健福祉の現状を把握し、関係機関や施策の改善に役立てるためのものであり、各データは前年度と比較してその増減が詳細に示されています。

まず、令和5年度の「申請通報届出数」は26,403件で、前年度に比べて58件、約0.2%の微増となっています。この届出は一般市民や警察官などから提出されたもので、そのうち診察を受けた者の数は9,955人であり、こちらも前年度に比べ145人、約1.5%の増加を示しました。これにより、精神障害者に対する申請通報が徐々に増加していることが分かります。医療現場での対応が求められている状況が継続している一方で、措置入院患者数については1,388人と、前年度比で280人、約16.8%の大幅な減少が確認されています。これは、精神医療の現場での対応や入院に関する基準が見直された可能性を示唆しており、今後の動向に注目する必要があります。また、医療保護入院届出数は184,861件で、前年度に比べ3,074件、約1.7%の増加となっており、精神的な問題を抱える患者のケアが引き続き重要であることが明らかです。

次に、精神障害者保健福祉手帳の交付状況についてですが、令和5年度末の交付台帳登載数(有効期限切れを除く)は1,448,917人となり、前年度比で103,449人、約7.7%増加しています。これは、精神障害を持つ人々が適切な支援を受けるために手帳の交付を受ける傾向が強まっていることを示しています。特に3級の交付者数が最も大きく増加しており、10.0%の増加率を記録しました。これにより、軽度の精神障害者にも対応する制度の重要性が高まっていると考えられます。

さらに、精神保健福祉センターでの相談延べ人員は96,158人に達しました。相談内容で最も多かったのは「社会復帰」に関するもので、35,518人、全体の36.9%を占めました。これは、精神障害者が社会に復帰するためのサポートが重要であることを強調しており、今後もこの分野での支援が不可欠となるでしょう。次いで「心の健康づくり」が10,689人、11.1%を占めており、精神的な健康管理が個々人の生活の質に大きく影響していることが示されています。また、「ギャンブル」に関する相談も7,776人と8.1%を占めており、依存症問題への関心が高まっていることがうかがえます。

さらに、相談要因別にみると、「ひきこもり」に関する相談が22,647人、全体の23.6%と最多であり、この問題の深刻さが浮き彫りになっています。特に、仕事や学校に行かず、家族以外との交流がほとんどない状況が半年以上続く人々が多く、ひきこもり問題への対応が急務であることがわかります。これに続いて「発達障害」に関する相談が7,926人、8.2%を占めており、精神的な問題だけでなく、発達障害を抱える人々に対する支援の必要性も高まっています。

総じて、令和5年度の精神保健福祉に関するデータからは、精神障害者への支援がより一層重要視されている現状が浮き彫りになっています。申請通報や医療保護入院の増加、保健福祉手帳の交付者数の拡大、さらには相談件数の多さが、社会全体で精神障害に対する理解と支援が求められていることを示しています。今後、これらのデータを基にした政策の改善や、地域社会におけるサポート体制の充実が期待されます。特に、ひきこもりや発達障害、依存症に対するアプローチが重要な課題となっており、関係機関の連携が不可欠です。

精神保健福祉におけるこれらの統計情報は、今後の施策の策定や実施において貴重な指針となるでしょう。各データは、単なる数値ではなく、現実の社会問題を反映しているものであり、これを受けて適切な対策が講じられることが求められています。企業や地域社会が連携し、精神障害者の社会復帰や生活の質の向上に向けた取り組みを強化していくことが、今後の重要なテーマとなるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ