2024年9月12日
労務・人事ニュース
総務省、4.9GHz帯の5G普及に向けた新たな特定基地局開設指針を発表-意見募集結果と電波監理審議会からの答申を反映
4.9GHz帯における第5世代移動通信システムの普及のための開設指針案に関する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(総務省)
令和6年8月27日、総務省は、4.9GHz帯における第5世代移動通信システム(5G)の普及を促進するための特定基地局の開設に関する指針案について、意見募集の結果と、それに基づく電波監理審議会からの答申を公表しました。この指針案は、5Gネットワークの全国的な展開を支援するためのものであり、今後の電波利用の在り方を決定する重要な枠組みとなります。
この指針案の策定に至るまでには、まず令和6年7月3日から8月1日までの約1か月間、意見募集が行われました。この間、計13件の意見が総務省に提出され、その内容は多岐にわたります。意見の中には、空港周辺での電波干渉を避けるための技術的調整や、既存の無線システムから新しい5Gシステムへの移行に伴う課題に関するものが含まれていました。特に、特定基地局の設置場所に関しては、多くの関係者から技術的および運用上の懸念が示され、これらは指針の最終案に反映される形で見直しが行われました。
空港周辺の電波利用に関する課題は特に注目されました。現在、4.9GHz帯の一部は航空用の通信システムに使用されており、これらのシステムとの干渉を避けるために、空港用地から一定の距離を保つことが求められています。このため、空港周辺では特定基地局の設置が制限されることになり、対象地域から一部のメッシュ(地理的な区画)が除外されることとなりました。これにより、基地局設置の柔軟性が確保されると同時に、航空機の安全な運航を妨げないための措置が講じられています。
さらに、基地局展開の公平性に関する議論もありました。今回の指針案では、特定基地局の数やその展開率が審査基準の一つとなっていますが、この評価方法に関しては、意見募集の際にさまざまな意見が寄せられました。特に、基地局の種類によってカバーエリアが大きく異なることから、単純な数の比較では不公平が生じる可能性があるとの指摘がありました。これに対し、総務省は、周波数の有効利用を促進する観点から、多くの基地局を展開する事業者が優遇される仕組みを維持する方針を示しましたが、意見の内容は今後の施策において参考にするとしています。
また、周波数の割り当てにおいては、公平性の確保が重要視されており、特定の事業者に周波数が集中しないよう配慮がなされています。過去に割り当てを受けた事業者と、新規に参入する事業者との間での競争の公平性を保つため、比較審査基準には既存の周波数利用状況や今後の展開計画が含まれています。これにより、限られた周波数資源の有効利用を促進しつつ、健全な市場競争を維持することが目指されています。
電波監理審議会は、今回の指針案を「適当」とする答申を行いました。この答申は、5Gの全国展開を迅速に進めるための重要な判断であり、これに基づいて総務省は速やかに次のステップへと進むことが期待されています。今後、開設計画の認定申請が開始されると、事業者はこの指針に従って具体的な計画を策定し、提出することになります。この過程では、総務省が公開する申請マニュアルが重要な役割を果たすことになります。申請マニュアルには、特定基地局の設置や運用に関する技術的要件、財務的な基準、さらには周波数の経済的価値に基づいた料金設定など、詳細なガイドラインが含まれる予定です。
一方、既存の無線システムから5Gシステムへの移行には、多額のコストと時間が必要とされるため、この移行を円滑に進めるための施策も重要です。特に、移行期間中の混信防止や、移行後の周波数利用の最適化を図るための措置が求められます。総務省は、こうした移行プロセスに必要な資金の確保や、既存のシステム利用者との協議を進めるよう事業者に求めており、これが5Gの早期展開に繋がると期待されています。
このように、4.9GHz帯における5Gシステムの普及に向けた取り組みは、今後ますます重要なものとなっていくでしょう。全国的なインフラ整備が進むことで、地域間のデジタル格差が縮小され、より多くの人々が高速で安定した通信環境を享受できるようになると期待されています。総務省が推進するこの新たな指針に基づき、日本全国で5Gネットワークが一層普及し、社会全体のデジタルトランスフォーメーションが加速することが期待されます。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ