2024年11月1日
労務・人事ニュース
総勢360名の「トラック・物流Gメン」新体制が不正荷主1,000件超の是正指導を実施、物流業界の適正化を目指す
トラックGメンを「トラック・物流Gメン」へ改組・拡充し、集中監視月間を実施します~倉庫業者からも情報収集するとともに、体制を拡充し総勢360名規模で対応~(国交省)
国土交通省の物流・自動車局貨物流通事業課は、令和6年11月1日より「トラックGメン」を「トラック・物流Gメン」へと改組し、体制を大幅に強化しました。新しい「トラック・物流Gメン」では、トラック業界における不正行為の監視や是正指導をさらに強化するために、これまでの162名体制を360名規模にまで拡充しています。この改組により、倉庫業者からの情報収集が追加され、物流全体における取引の適正化を目指した施策が充実することとなります。
もともと「トラックGメン」は令和5年7月に発足し、以来、荷主に対して1,000件以上の是正指導を行うなど、物流業界において一定の成果を上げてきました。しかし、荷待ち時間の削減などの課題を解決するには、発荷主や着荷主といった倉庫業者からの協力も不可欠であり、物流全体の取引環境を適正にするためには、倉庫業者の意見や情報も必要です。この背景から「トラックGメン」の役割を拡充し、倉庫業者がトラック事業者に対し違法な行為を助長する荷主などについての情報を提供する仕組みが整備されました。地方運輸局の職員29名と、各都道府県のトラック協会が新たに配置する「Gメン調査員」166名が追加され、360名体制で対応します。さらに、倉庫業の業界団体にも情報収集窓口が設置され、地方運輸局と連携しながら不正行為の防止に取り組むことになりました。
また、今年の11月と12月には「集中監視月間」が実施されます。この期間中には、悪質な荷主に対するプッシュ型の情報収集が行われ、不正取引を阻害する疑いのある荷主に対する監視が強化されます。荷主や元請け事業者に対しては、トラック事業者が法令を遵守して業務を行えるよう配慮する重要性を理解してもらうため、情報周知や協力要請も行われる予定です。この集中監視は、トラック事業者が適切な条件で業務を遂行できるよう、荷主側の協力を促進する活動として位置付けられ、長時間労働や安全面でのリスクを減らす効果が期待されています。
この施策の背景には、物流業界における人手不足や過重労働が深刻化している状況があります。トラック運転手の人手不足は年々顕著となり、物流の安定確保が日本経済の持続可能性にとって重要な課題となっています。トラック運転手が適正な労働環境で業務を行えるよう、国としても持続可能な物流体制の構築を急務としています。「トラック・物流Gメン」の導入によって、物流業界における取引の透明性が高まり、トラック運転手が負担の少ない環境で働けるようになると期待されています。
この「トラック・物流Gメン」による取り組みは、サプライチェーン全体の適正化を目指しており、倉庫業者や荷主の協力が不可欠です。物流業界では、発荷主や着荷主がトラック事業者に無理な要望を強いることがある一方で、適正な取引環境の確保が求められています。トラック事業者が法令に従って業務を遂行できる環境が整えば、業界全体が持続可能な方向に向かい、運賃適正化や運転手の労働条件改善が図られる可能性が高まります。
本施策は、物流業界の構造的な問題に対して包括的な対策を講じるものであり、トラック運転手の労働環境を改善し、業界全体の持続可能性を向上させる一助となることが期待されます。「トラック・物流Gメン」の監視体制が強化されることにより、物流業界における法令遵守の徹底が進み、トラック事業者が安心して業務を遂行できる環境が整備されるでしょう。
最後に、企業の採用担当者や物流関係者にとっても、トラック・物流Gメンの活動は重要な意味を持つと考えられます。物流業界全体の健全化が進めば、トラック運転手の採用や労働条件の向上が期待できるため、物流企業にとっても競争力を保ちながら安定した経営を実現する一助となるでしょう。今後の物流産業における人材不足問題の解決にもつながる可能性があり、トラック運転手が魅力的な職業として認識される環境づくりにも寄与すると考えられます。国土交通省の取り組みによって物流業界の不正が排除され、公正な取引環境が整備されれば、今後の物流業界のさらなる発展と持続可能性が期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ