2024年10月17日
労務・人事ニュース
総実労働時間が132.6時間に減少、労働環境の変化が企業採用に与える影響
毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果速報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
総実労働時間について見ていきます。「調査産業計」においては、総実労働時間が132.6時間であり、前年同月比で0.9%減少しています。これに対して、所定内労働時間は123.3時間で、前年と比べて0.7%減少しています。これに加え、所定外労働時間は9.3時間で、前年同月と比べて3.1%の減少が見られました。全体的にみると、所定内および所定外の労働時間の減少が総労働時間の減少に寄与しています。
次に、産業別に詳しく見ていきます。「鉱業、採石業等」では、総実労働時間が153.4時間と、前年同月比で5.3%減少しています。所定内労働時間は141.2時間であり、1.8%の減少を記録しています。特に所定外労働時間は12.2時間で、前年と比べて32.6%も大幅に減少している点が注目されます。これは、この業界での労働時間の短縮が進んでいることを示唆しており、採用戦略や労働力の効率化に関する取り組みが進展している可能性があります。
「建設業」については、総実労働時間が151.1時間で、前年同月比で2.5%減少しています。所定内労働時間は139.7時間で、前年と比較して1.8%減少しました。所定外労働時間は11.4時間で、9.5%の減少が見られます。この減少は、業界全体での労働環境の改善が進んでいることを示していると考えられます。企業の採用担当者にとっては、これらの変化が採用活動にどのように影響するかを見極める必要があるでしょう。
「製造業」に関しては、総実労働時間が147.3時間で、前年と比べて0.3%の微減に留まっています。所定内労働時間は134.6時間で、0.2%の減少が見られます。所定外労働時間は12.7時間で、前年同月と比べて0.8%の減少が確認されました。このような微細な変化は、製造業における働き方の均衡が保たれていることを示していますが、今後の採用や労働条件の改善に向けたさらなる取り組みが期待されます。
また、「出勤日数」に注目すると、全産業で平均出勤日数は17.1日で、前年同月と比べてほぼ変わりありません。出勤日数の増減がほとんど見られないことから、企業は所定労働時間の見直しや、労働生産性向上のための新しい働き方改革に取り組む必要があるかもしれません。
これらのデータからわかるように、多くの産業で総労働時間と所定外労働時間が減少傾向にあります。特に、鉱業や建設業では大幅な減少が見られ、これは業界全体での働き方の見直しが進んでいることを示しています。企業の採用担当者にとって、このようなデータは労働環境の改善や柔軟な働き方の導入を進めるための重要な指標となるでしょう。
さらに、労働時間の短縮が進む中で、採用戦略にも影響が出ることが予想されます。労働時間が短縮されることで、従業員のワークライフバランスが向上し、定着率の向上や新たな人材の確保が容易になる可能性があります。また、所定外労働時間の減少は、過重労働の問題を解消し、従業員の健康管理や生産性向上に寄与すると考えられます。特に、所定外労働時間が大幅に減少している業界では、採用活動を通じて企業の働きやすさや魅力をアピールすることが効果的です。
しかしながら、労働時間の減少が必ずしもすべての企業にとってプラスに働くわけではありません。例えば、生産性の向上が伴わない場合、労働時間の短縮は業務の進捗に影響を及ぼす可能性があります。このため、企業の採用担当者は、労働時間短縮に対する柔軟な対応策を講じる必要があります。労働時間の減少に伴い、効率的な働き方や技術の導入が求められるでしょう。
このように、労働時間や出勤日数の統計データは、企業の採用活動や労働環境の改善に役立つ貴重な情報源となります。採用担当者はこれらのデータを基に、自社の働き方改革や労働力の効率化を進め、競争力のある採用戦略を立てることが重要です。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ