2024年11月12日
労務・人事ニュース
群馬県の最新雇用動向:求人倍率2.06倍で持ち直しの兆し
労働市場速報(令和6年9月)(群馬労働局)
令和6年10月29日、群馬労働局が発表した最新の雇用情勢によると、県内の雇用市場は依然として求人が求職を上回る状況が続いていますが、持ち直しの動きにやや弱さが見られると指摘されています。物価の上昇や経済環境の変動が雇用に与える影響には注意が必要であり、今後の動向が注目されています。
県内全体の有効求人倍率(季節調整値)は2.06倍で、前月と同様の倍率を維持しています。これは、全体的に求人数が高水準で推移しているものの、景気の動向や経済不安が求人の増加ペースを鈍化させていることを示唆しています。特に、正社員求人倍率(原数値)も前年同月比で同じ倍率を保ち、求人数は前年に比べて増加傾向にあるものの、新規求人に関してはわずかな増加にとどまっているという状況です。
産業別の状況を見てみると、医療・福祉、サービス業、宿泊・飲食サービス業では、求人が安定的に推移しており、一部の分野では前年同月比で増加傾向が見られます。特に宿泊・飲食サービス業では、新規求人数が16か月ぶりに増加に転じ、県内観光業の回復が雇用にも反映されていることが伺えます。しかしながら、製造業や情報通信業では減少が見られ、特に情報通信業では前年比で8.9%減少しており、デジタル産業の成長が一時的に停滞している様子がうかがえます。
建設業においては、求人が依然として堅調に推移しているものの、わずかな減少が確認されました。これは、公共事業や民間の建設プロジェクトの進行が一部で鈍化している可能性を示唆しています。一方で、運輸業・郵便業では前年同月比で求人が減少しており、特に物流業界の一部では需要の減少が顕著に表れています。
求職者側の動向についても注目すべきポイントがあります。新規求職者数は前月比で2.7%増加し、前年同月比でも微増となっています。この増加傾向は、特にサービス業や医療・福祉分野で顕著であり、これらの業界での需要に対応する求職者の増加が見られます。しかしながら、有効求人数は前年同月比で4.3%減少しており、求人全体に対する求職者の増加が追いついていない状況も見られます。これにより、有効求人倍率は高止まりしているものの、特定の業種や地域では人材確保が困難な状況が続いています。
また、企業の採用活動にも影響を与えている要因として、ハローワークインターネットサービスの機能拡充が挙げられます。令和3年9月以降、ハローワークに直接来所せずとも、オンライン上で求職者マイページを開設することで、求人情報の検索や応募が可能になりました。この新しい機能により、オンライン自主応募の件数が増加し、特に若年層や転職希望者がインターネットを通じて効率的に職を探す傾向が強まっています。企業側にとっても、オンラインでの採用活動の強化が必要となっており、これに対応した人材確保の戦略が求められています。
地域別の求人倍率を見ると、群馬県内では地域差が大きく、特に一部の都市部では求人倍率が全国平均を上回っています。これにより、都市部への人材集中が進んでおり、地方部では労働力不足が顕著化している地域もあります。地方の中小企業にとっては、こうした労働力の地域格差を解消するための取り組みが急務であり、移住者やUターン・Iターン希望者への積極的な雇用施策が今後重要になると予想されます。
今後の課題として、県内の雇用環境をさらに改善し、労働力不足の解消に向けた取り組みが求められます。企業側では、従業員の待遇改善や働き方の柔軟性を高める施策が一層重要になります。また、労働市場においては、新規参入者や転職者の支援が不可欠であり、特に若者や女性、高齢者の活用が今後の雇用市場における重要なテーマとなるでしょう。さらに、物価上昇の影響や国際的な経済動向にも注意が必要であり、経済環境の変化に応じた柔軟な採用戦略が企業には求められます。
総じて、群馬県内の雇用情勢は持ち直しつつあるものの、まだ不安定な要素が多く残っています。企業の採用担当者にとって、今後の動向を注意深く観察しつつ、求職者とのマッチングを強化し、労働力の確保に向けた取り組みを積極的に行うことが求められます。地域経済の回復とともに、雇用環境の改善が進むことが期待されており、これに向けた行政や企業の連携がますます重要になるでしょう。
⇒ 詳しくは群馬労働局のWEBサイトへ