2024年3月24日
労務・人事ニュース
職業興味の分析から見える、改訂OHBYカードが描く職業とキャリアの未来像
OHBYカード改訂版に伴う背景データの分析 ―OHBYカードにみる成人の職業興味の特徴―(労働政策研究・研修機構)
職業情報ツールとして知られるOHBYカードの改定について分析を行った研究の内容を紹介します。OHBYカードは、限られた48の職業をリストアップして、インターネット環境がない場所でも基本的な職業情報に触れることができるように設計されました。このカードは発表から17年が経過し、時代に合わせて職業の選択やビジュアルの刷新が求められてきました。
今回の改訂では、約4分の1の職業が更新され、全ての職業のイラストも一新されました。改訂の過程で、職業に対する興味の属性を分析し、信頼性と妥当性の検証を行い、特に成人の職業興味に焦点を当てました。調査はインターネットを通じて800名(大学生200名、各年代200名ずつの成人)に行われました。
調査結果からは、特に芸術的な職業が好まれる傾向にあり、一方で社会的職業には消極的な意見が多いことが分かりました。これらの結果から、現代の成人の職業に対する興味や傾向について新たな知見を得ることができました。
OHBYカードは、ホランドのRIASEC理論に基づいた6つの職業類型に加え、データ、人、物を基にしたDPTモデルによる分類も示されました。また、収入とキャリア満足感に影響を与える要因として、年代や職業興味の領域が明らかにされました。
この研究は、職業相談やキャリアコンサルティングに役立つデータを提供し、今後のキャリアガイダンスツール開発に対する重要な示唆を与えています。日本ではこのような基礎研究が少なくなっているため、今後も職業興味に関する研究を続けることが重要です。また、キャリアガイダンスの民営化の傾向に対し、公共と民間の適切なバランスを見つけることが求められています。