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2023年12月16日

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職種別賃金分析を発表[2023年10月26日掲載](連合)

連合による詳細な賃金構造分析:日本の職種別給与の実態

この文書「2022 年賃金構造基本統計調査特別集計にもとづく職種別賃金の研究」は、日本労働組合総連合会(連合)によって作成されたものです。

この報告書では、厚生労働省の2022年の賃金構造基本統計調査の特別集計に基づき、職種別、産業別、性別、雇用形態別の賃金実態について分析しています。

報告書の内容は、以下のように構成されています。

  1. 職種別賃金の分析の背景と注意点
  2. 職種別、産業別の人員と賃金のランキング表
  3. 同一職種内での性別による雇用形態間の違い
  4. 同一雇用形態、職種における性別による違い
  5. 賃金カーブの5分類(高山型、低山型、高原型、台地型、平地型)の分析
  6. 複数の関連職種データの合算分析

この報告書の目的は、職種別賃金の格差を「見える化」し、その原因分析と解決策の提言に向けた基礎データを提供することです。

特に、「同一労働同一賃金」の原則に則り、雇用形態間や性別間での不合理な待遇差を明らかにし、是正に向けた議論を深めることが期待されています。

分析には、厚生労働省が提供した特別集計表が用いられており、職種小分類や産業中分類ごとに、年齢階層、勤続年数、労働時間、賃金などのデータが詳細に集計されています。

この報告書は、労働組合や関連団体が職場での格差是正に向けた議論を深めるための基盤を提供することを目的としています。

1. 職種別賃金の分析の背景と注意点の要約

日本のさまざまな職種における賃金の状況を分析しています。この分析の背景には、職種によって賃金に大きな差があるという現実があります。

分析を行う上での重要なポイントは、単に職種ごとの賃金の平均値や中央値を比較するだけでなく、その背後にある要因を理解することです。

例えば、同じ職種でも勤務地や企業規模、雇用形態、性別などによって賃金が異なることがあります。また、経験年数や年齢、スキルなどの個人的要素も賃金に影響を与えます。

この報告書では、これらの要素を考慮しながら、職種ごとの賃金の実態を明らかにしようとしています。

その目的は、賃金格差の原因を解明し、より公平な労働市場を実現するための議論に資料を提供することです。

ただし、このような分析には多くのデータが必要であり、またデータの解釈には慎重なアプローチが求められるため、報告書の内容はこれらの点を考慮して読む必要があります。

2. 職種別、産業別の人員と賃金のランキング表の要約

さまざまな職種と産業における就業者数と賃金水準が比較されています。この表は、日本の労働市場におけるさまざまな職種と産業間での雇用状況と賃金水準の違いを明確に示しています。

表によると、特定の職種や産業では高い賃金を得ている人が多く、他の職種や産業ではそれほど高くない賃金水準であることが分かります。

例えば、技術系や専門職の職種では比較的高い賃金を得ている人が多い一方で、単純労働や一般事務系の職種では低い賃金水準が目立ちます。

このランキング表からは、産業や職種によって労働市場の構造が異なり、それが賃金に大きな影響を与えていることが読み取れます。

また、この表は政策立案者や労働組合などが賃金格差を解消するための施策を検討する際の重要な参考資料となり得ます。

全体として、このランキング表は日本の労働市場の複雑さと多様性を浮き彫りにし、それぞれの職種や産業が直面している特有の課題を示しています​​。

3. 同一職種内での性別による雇用形態間の違いの要約

男性と女性が同じ職種で働く場合、どのような雇用形態の違いがあるかが分析されています。この分析により、男女間での雇用形態の差異が明らかになります。

報告書では、特定の職種での男性と女性の雇用形態を詳しく比較しています。

例えば、一部の職種では男性が正社員として働く割合が高いのに対し、女性は契約社員やパートタイムといった非正規雇用の割合が高いことが指摘されています。

これは、同一職種内でも性別によって雇用の安定性や条件に差が生じていることを示しています。

また、この部分では、性別による雇用形態の違いが、賃金格差にどのように影響しているかについても分析されています。

一般的に、正社員として働く人は非正規雇用の人に比べて賃金が高いため、この雇用形態の差異は賃金格差の一因となっていることが示されています。

この報告書の分析は、男女間での雇用の公平性を改善するための政策立案や議論に有用な情報を提供しています。

全体的に、性別による雇用形態の違いが労働市場に与える影響の深さと複雑さを示しています​​。

4. 同一雇用形態、職種における性別による違いの要約

男性と女性が同じ条件で働いている場合にも、性別による差異が存在することを示しています。

これは、同じ職種、同じ雇用形態であっても、男性と女性の間に賃金や職場での待遇に差があることを指摘しています。

報告書では、特に賃金面での差異に焦点を当てています。同じ職種で働く男性と女性が、同じ仕事をしているにも関わらず、賃金に差がある場合が多いということです。

これは、男女間の賃金格差が、単に職種や雇用形態の違いだけでなく、性別そのものによっても生じていることを示唆しています。

さらに、報告書はこのような賃金格差が、単に給与の数値の違いだけでなく、職場における昇進の機会や研修への参加機会など、キャリア形成にも影響を及ぼしていることを強調しています。

これにより、性別に基づく不平等が、職場内での長期的なキャリアパスにも影響を与えていることが明らかになります。

この部分は、男女平等の観点から労働市場の公平性を高めるための政策立案に重要な参考情報を提供しており、性別による不合理な差別をなくすための取り組みが必要であることを示しています​​。

5. 賃金カーブの5分類(高山型、低山型、高原型、台地型、平地型)の分析の要約

異なる職種と産業における賃金の分布パターンが5つのタイプに分類されています。これらの分類は、職種や産業によって賃金がどのように変化するかを示しています。

高山型:このタイプは、賃金が高い水準で始まり、時間の経過とともにさらに高くなる特徴を持っています。主に高度な専門性やスキルを要する職種で見られます。

低山型:低山型は、比較的低い賃金からスタートし、徐々に上昇するが、高山型ほどの高さには達しないパターンです。一般的な事務やサービス業などで見られます。

高原型:高原型は、初期の賃金が高めでスタートし、その後あまり変化せずに一定の水準を保つ形です。一部の専門職や技術職でこの傾向が見られます。

台地型:台地型では、初期の賃金が中程度で、時間の経過とともにわずかに上昇し、その後一定の水準を維持します。安定した職種でこのパターンが見られます。

平地型:平地型は、全期間を通じて賃金がほぼ変化せず、平坦なカーブを描きます。単純労働など、特に専門性を要しない職種でよく見られます。

これらの分類は、職種や産業による賃金の変動の理解を深める上で重要であり、経済政策や労働市場分析において有益な視点を提供しています​​。

6. 複数の関連職種データの合算分析の要約

異なるが関連する職種の賃金データをまとめて分析することの重要性と方法が説明されています。この分析は、個々の職種だけでなく、似ている職種群全体の賃金傾向を理解することを目的としています。

この分析により、同じ分野やカテゴリーに属する複数の職種を一つのグループとして捉え、そのグループ全体の平均賃金や賃金の分布を明らかにすることができます。

これにより、職種間の賃金格差だけでなく、産業全体の賃金構造や、特定の産業セクター内での賃金のバランスに関する洞察が得られます。

たとえば、似たようなスキルや業務内容を持つ複数の職種を一つのカテゴリーとして分析することで、そのカテゴリー全体の賃金水準や、経験年数や雇用形態による賃金の違いをより総合的に理解することが可能になります。

このような合算分析は、単一職種だけでは見えにくい、広い視野に基づいた賃金のトレンドや問題点を浮き彫りにします。

さらに、このアプローチは、賃金政策の立案や労働市場改革の議論において、より広範な視点からの分析を可能にし、賃金の格差是正に向けた実効性のある策定に役立てることができるとされています​​。

まとめ

2022年の賃金構造基本統計調査に基づいて、日本労働組合総連合会(連合)による職種別の賃金研究に関するものです。

主に、性別や雇用形態に焦点を当てて、職種別の賃金実態を分析しています。

文書は複数の章に分かれており、それぞれ職種別賃金の分析の背景、職種別・産業別の人員と賃金のランキング、性別や雇用形態間の違いに焦点を当てた分析、賃金カーブの分類、関連職種の合算分析などを含んでいます。

この文書は、職種別賃金の分析を通じて賃金格差の「見える化」に努め、それぞれの労働組合が職場での格差是正に向けた議論を深める契機となることを目的としています。

⇒詳しくは 日本労働組合総連合会のWEBサイトへ