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2024年10月3日

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若年労働者の雇用率73.6%、中小規模事業所では69.5%に低下、業界別の差異も明らかに

令和5年若年者雇用実態調査の概況 事業所調査 若年者の雇用状況(厚労省)

令和5年の若年者雇用状況に関する調査結果によると、全国の事業所における若年労働者の雇用状況は重要な課題となっています。令和5年10月1日時点で、若年労働者が就業している事業所の割合は73.6%に達しており、その内訳として若年正社員がいる事業所の割合は62.0%、正社員以外の若年労働者がいる事業所の割合は34.4%でした。この調査結果から、若年層の雇用が依然として多くの業界や企業で進んでいることが確認できますが、全体的な傾向としては若年労働者の雇用が減少していることも浮き彫りになっています。

産業別に見ると、若年正社員が最も多い業種は「金融業、保険業」で86.6%、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」で79.0%という結果でした。一方、正社員以外の若年労働者が多く雇用されている業種では、「宿泊業、飲食サービス業」が60.4%で最も高く、「教育、学習支援業」が49.7%で続いています。これらの業界では、正社員ではない若年層の働き手が重要な労働力を担っていることが示されています。

また、事業所の規模別で比較すると、30人以上の事業所においては若年労働者がいる事業所の割合が9割を超えていますが、5〜29人規模の事業所では69.5%と若干低くなっています。これにより、規模の小さい事業所では若年労働者の雇用が比較的少ないことが分かります。

一方で、令和5年の調査では前回の平成30年の調査結果と比較して、若年労働者がいる事業所の割合は全体として減少しており、若年正社員、正社員以外のいずれにおいても同様の傾向が見られました。このような減少傾向は、少子高齢化や労働力不足の影響などが要因として考えられ、今後の若年者雇用政策の強化が求められています。

次に、全労働者に占める若年労働者の割合については23.7%とされ、業種別に見ると「宿泊業、飲食サービス業」で34.3%、「情報通信業」で32.0%、「生活関連サービス業、娯楽業」で26.8%という結果でした。特に「宿泊業、飲食サービス業」や「情報通信業」では、若年層の労働者が全体の労働力の中で大きな割合を占めており、これらの業界において若年者の雇用が重要であることが確認されています。

さらに、正社員に占める若年労働者の割合が最も高い業種としては「情報通信業」が33.5%、次いで「金融業、保険業」が30.1%となっており、これらの業界では若年正社員の雇用が積極的に進められていることが示唆されています。また、正社員以外の労働者に占める若年労働者の割合が高い業種としては、「宿泊業、飲食サービス業」の38.5%、「生活関連サービス業、娯楽業」の28.1%が挙げられ、これらの業種では非正規雇用として若年層が重要な役割を果たしていることが分かります。

事業所規模別のデータを見ると、正社員に占める若年労働者の割合は「1,000人以上」の大規模事業所で35.9%と最も高く、事業所規模が大きいほど若年正社員の割合が高い傾向があります。逆に「5〜29人」の小規模事業所では23.2%と比較的低い割合にとどまっており、規模の小さい事業所では正社員の若年労働者が少ない状況が伺えます。

この調査結果から、若年層の雇用における産業別や事業所規模別の違いが明確になりましたが、全体としては若年労働者の雇用が減少傾向にあることが問題視されています。特に、少子化や高齢化が進行する中で、若年層の雇用確保が社会全体の労働力維持にとって重要な課題となっています。企業や業界ごとに適切な雇用施策を講じることが必要であり、特に若年労働者を積極的に雇用し、育成するための取り組みが求められています。

このような状況において、政府や企業は若年層の雇用支援策を強化し、適切な雇用環境の整備を進めることが重要です。例えば、若年層の職業訓練やスキルアップ支援、ワークライフバランスの改善を図る取り組みが期待されます。また、若年労働者が安心して長期的に働ける環境を整えることが、企業の競争力向上にも繋がると言えるでしょう。

若年労働者の雇用状況は、企業の採用戦略や労働市場の動向に大きな影響を与えるため、今後も注視が必要です。企業は自社の労働力構成や業界の特性に合わせた柔軟な雇用政策を展開し、将来の労働力不足に対応できる体制を整えることが求められています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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