2024年9月29日
労務・人事ニュース
若年層の国語に対する関心が低下傾向、20代以下で「国語に関心がない」割合が2割を超える
令和5年度「国語に関する世論調査」の結果について(文化庁)
調査報告によると、令和5年度において日本語に対する意識調査が行われ、これにより多くの興味深い結果が明らかとなっています。調査の目的は、社会状況の変化に伴う日本語に関する日本人の意識や理解の現状を把握し、今後の国語施策の立案に資すること、そして国民の日本語に対する興味・関心を喚起することにあります。この調査は、全国の16歳以上の個人を対象に郵送法で実施され、6,000人に送付された調査票のうち、3,559人から有効回答が得られました。有効回答率は59.3%となっています。
まず、調査対象者の国語に対する関心について見ていきます。結果によると、回答者の80.9%が「国語に関心がある」と回答しており、その内訳は「非常に関心がある」が13.5%、「ある程度関心がある」が67.4%となっています。一方で、「全く関心がない」と回答したのはわずか1.5%であり、国語に対する関心が高いことが伺えます。また、年齢別に見ると、20〜30代の若年層よりも60代以上の層で関心の高さが目立っています。
次に、日本語が他の言語とどのように比較されているかという点についても興味深い結果が出ています。調査では、日本語の特徴や魅力についても質問があり、「漢字や平仮名、片仮名などの多様な文字」が64.2%と最も多くの回答を集めました。さらに、「敬語などの敬意を表す言葉遣い」が58.1%、「季節や気候を表す多様な表現」が54.6%という結果も見られました。このことから、日本語の特徴として、多様な文字表記や文化的な表現が高く評価されていることが分かります。
また、日本語を使って外国人とコミュニケーションを取る場合についても調査が行われています。外国語に対する日本人の対応意識を調査した結果、約53.8%の人々が「英語が国際的な共通言語として使用されることは良いことだ」と回答しています。この結果は、グローバル化が進む現代において、英語の重要性を認識している日本人が多いことを示しています。さらに、16~19歳の若年層においては、「英語が共通言語として使用されるのは仕方がない」と考える傾向が強く、全体の28.9%がそのように答えています。
一方で、電子書籍や読書習慣に関する調査結果も発表されており、特に20〜30代の若年層では電子書籍の利用が増加傾向にあることが分かりました。全体としては、電子書籍の方が紙の本よりも利用頻度が高いと答えた人が40.5%で最も多く、紙の本よりも電子書籍を利用する傾向があることが示されています。さらに、40代以下の世代では、電子書籍を積極的に利用する割合が他の年齢層と比較して高いことも明らかとなっています。
最後に、日本語の表現に対する理解についても調査が行われており、慣用句の理解度についても質問がありました。たとえば、「煮え湯を飲まされる」という表現については、信頼していた者から裏切られるという本来の意味よりも、「敵からひどい目に遭わされる」と理解している人の割合が多い結果となりました。このように、辞書で定義される本来の意味とは異なる解釈をしている人が一定数存在することが浮き彫りになっています。
以上のように、令和5年度の日本語に関する調査では、国語に対する関心が依然として高い一方で、若年層と高齢者層での意識の違いや、電子書籍の利用増加、日本語の慣用句に対する解釈の違いなど、興味深い結果が多数得られました。この調査結果は、今後の国語施策の立案において重要な参考資料となるでしょう。
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