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2024年10月3日

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若年層の転職希望率31.2%!賃金改善を求める59.9%が転職に動く企業の対応策とは

令和5年若年者雇用実態調査の概況 個人調査 今後の職業生活(厚労省)

若年層の雇用問題に焦点を当てた調査結果によると、若年正社員の約31.2%が今後転職を希望していることが分かっています。一方で、転職を希望していないと答えたのは30.3%であり、残りの37.8%は「わからない」と答えています。この調査結果から、若年層の職場環境に対する不安や将来のキャリアに対する悩みが浮き彫りになっています。性別に着目すると、男性の27.7%が転職を希望しているのに対し、女性では35.1%が転職を希望しており、女性の方が転職に対する意識が高いことが分かります。また、年齢層別に見ると、20~24歳の層が35.0%と最も高い転職希望率を示しており、この年代の若者が現職に対して特に不満を抱いていることが推測されます。

若年正社員が転職を希望する理由としては、「賃金の条件が良い会社に変わりたい」という回答が59.9%と最も多く、次いで「労働時間や休日・休暇の条件が良い会社に変わりたい」が50.0%と続いています。これらの結果から、若年層が職場を選ぶ際に重視している要素として、金銭的な報酬と労働環境が大きなウェイトを占めていることが明らかです。さらに、「人間関係の良い会社に変わりたい」と答えた人も24.8%おり、職場内の人間関係が転職を考える要因の一つであることが伺えます。

一方で、正社員以外の若年労働者の今後の働き方の希望についての調査結果では、「正社員として働きたい」と答えたのは35.7%であり、「正社員以外の労働者として働きたい」という回答が32.5%と僅差で続いています。また、「独立して事業を始めたい」と考えている若年労働者は1.4%にとどまり、大多数の若者が企業に属して働くことを希望していることが分かります。性別で見ると、男性の44.0%が「正社員として働きたい」と答えているのに対し、女性は32.0%で、女性の方が非正規雇用を希望する割合が高いことが明らかです。特に、女性では「正社員以外の労働者として働きたい」と答えた割合が38.6%で、正社員を希望する男性と大きな差が見られます。

さらに、若年正社員が現職でのキャリアをどのように捉えているかについても注目すべき点があります。「今後転職したいと思っている」若年正社員の理由を探ると、「自分の技術や能力を活かせる会社に変わりたい」という回答が41.9%であり、これは個人のスキルアップやキャリア成長を求める若者が多いことを示しています。これに続いて、「将来性のある会社に変わりたい」という回答が33.1%となっており、若者が長期的なキャリアビジョンを持って企業を選ぶ傾向が伺えます。

また、年齢階級ごとに見ると、20~24歳の若年層では「賃金の条件が良い会社に変わりたい」と答えた割合が64.6%と非常に高く、若年層の中でも特に賃金に対する不満が強いことが分かります。一方で、30~34歳の層では「自分の技術・能力を活かせる会社に変わりたい」と答えた割合が60.9%に達しており、年齢が上がるにつれてスキルの活用やキャリアの発展に重点を置くようになる傾向が見られます。

こうした若年層の転職意識の背景には、職場環境や労働条件だけでなく、長期的なキャリア形成への不安が存在していると考えられます。若年層が転職を希望する主な理由として挙げられる「賃金」や「労働時間・休日・休暇」の改善に加え、「自分の能力を活かせる場を求める」という要素も重要なポイントです。このことから、企業側としては、若年層の求める条件を満たす職場環境を提供し、彼らのキャリア成長をサポートすることが、長期的な人材確保に繋がるでしょう。

また、正社員以外の若年労働者についても、正社員としての安定した雇用を希望する割合が高い一方で、女性や特定の年齢層では非正規雇用を望む傾向が見られます。この点について、企業は多様な働き方を提案し、各個人のライフスタイルやキャリアニーズに対応する必要があります。特に、女性の若年層では家庭や育児との両立を考慮した柔軟な働き方を求める声が増えており、これに対応することで女性の活躍推進や労働力の安定確保にも繋がると考えられます。

さらに、独立志向を持つ若年労働者は少数派であるものの、事業を始めたいと考えている若者に対しても、企業はインキュベーションプログラムやスタートアップ支援などの取り組みを通じて、新たなキャリアパスを提供することが求められます。企業内でのキャリアパスの多様化を進めることで、若者の潜在的な意欲を引き出し、組織全体の活性化にも繋がるでしょう。

このように、若年層の雇用に関する調査結果からは、彼らが求める働き方やキャリア形成に対する多様なニーズが浮かび上がっています。企業は、賃金や労働条件の改善に加え、個々のキャリア目標に応じた柔軟な働き方を提供することで、若者の定着率向上や労働力の安定確保を図るべきです。また、キャリア形成を支援する制度や働きやすい環境を整えることが、今後の若年層の雇用において重要な要素となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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