2024年10月3日
労務・人事ニュース
若年正社員の雇用安定性満足度66.4ポイント!非正社員の仕事のやりがいが満足度59.9ポイントに!柔軟な働き方を取り入れるべき理由
令和5年若年者雇用実態調査の概況 個人調査 職業生活の満足度(厚労省)
令和5年の若年労働者に関する調査結果は、特に職業生活の満足度に焦点を当てており、正社員と非正社員の間で顕著な差異が見られました。この調査では、若年労働者の職業に対する満足度を複数の要素で分析し、その中でも「雇用の安定性」や「職場の人間関係」、「仕事の内容・やりがい」といった項目が特に注目されました。
まず、正社員の若年労働者において、最も高い満足度を示したのは「雇用の安定性」で、66.4ポイントを記録しました。これは、職業生活において安定性が重要な要素であることを示しており、若い世代が将来的なキャリアの基盤として安定した雇用を重視していることがわかります。また、「職場の人間関係、コミュニケーション」も57.3ポイントと高い満足度を示しており、職場での人間関係が良好であることが、職業生活全体の満足度に大きく寄与していることが見受けられます。さらに、「仕事の内容・やりがい」についても55.2ポイントと、仕事自体に対する満足感が比較的高いことが確認されました。
一方で、正社員以外の若年労働者に関しては、最も高い満足度を示したのは「仕事の内容・やりがい」であり、59.9ポイントとなっています。これは、非正社員であっても仕事そのものに対してやりがいを感じている労働者が多いことを示しています。しかし、「雇用の安定性」については38.1ポイントと低く、非正社員であるがゆえに安定性に対する不安が大きいことが浮き彫りになっています。雇用形態による安定性の差が、若年労働者の職業満足度に大きく影響を与えていることが明確です。
また、賃金に対する満足度も非常に低い結果となっており、正社員であってもマイナス5.9ポイント、非正社員ではわずか0.6ポイントにとどまっています。これは、若年層の賃金に対する不満が広く浸透していることを示しており、賃金の改善が若年労働者の職業満足度向上に不可欠であることを物語っています。
さらに、「労働時間・休日等の労働条件」についても、正社員は36.6ポイント、非正社員は54.8ポイントと、非正社員の方がやや高い満足度を示しています。これは、非正社員の方が労働時間や休日に柔軟性があるため、一定の満足感を得ている可能性があります。一方で、正社員は長時間労働や休日の制約があるため、この点に不満を抱く傾向が見られます。
全体として、若年労働者の職業生活に対する満足度は雇用形態によって大きく異なり、特に正社員は安定性や人間関係に対して高い満足度を示す一方で、賃金や労働条件に対する不満が残る傾向があります。非正社員は仕事のやりがいや労働条件に対して満足しているものの、安定性に対する不安が強く、これが職業生活全体の満足度に影響を与えていることがわかります。
このような調査結果は、企業の採用担当者にとっても重要な示唆を提供しています。若年層の労働者が職業生活に求めるものは、単に雇用の安定性や賃金だけではなく、職場での人間関係や仕事のやりがいといった要素も含まれているため、これらの要素を総合的に改善することで、従業員の満足度を高め、離職率の低減につなげることが期待されます。特に、非正社員の安定性に対する不安を和らげるための施策や、正社員の賃金改善に向けた取り組みが重要な課題として浮上しています。
また、教育訓練や能力開発の機会についても、正社員・非正社員ともに満足度は低く、正社員では18.5ポイント、非正社員では18.2ポイントとなっています。これは、若年労働者が自身のキャリア形成やスキル向上に対して不安を感じていることを示しており、企業としてもこの部分に対する支援を強化する必要があります。若年労働者にとって、自己成長やキャリアアップの機会が限られている状況は、長期的なキャリアへの不安を引き起こし、結果として企業に対する満足度が低下する要因となります。企業はこうしたニーズを的確に捉え、若年層が自身の能力を伸ばしやすい環境を提供することが求められます。
総じて、若年労働者の職業生活における満足度は、雇用形態や職場環境、労働条件に強く依存しており、企業がこれらの要素をどのように改善していくかが今後の課題となります。若年層の労働者が安心して働ける環境を整備するためには、労働時間や賃金だけでなく、職場での人間関係ややりがいのある仕事を提供することが重要です。また、非正社員に対する雇用の安定性を高める施策や、正社員に対する賃金の見直しを行うことで、全体的な満足度を向上させることができます。企業がこれらの点に取り組むことで、若年層の採用や定着率を向上させ、長期的な労働力の確保につながるでしょう。
これらのデータを踏まえて、企業の採用担当者は若年層のニーズに応える採用戦略を立てることが重要です。従業員の満足度を高めるための具体的な施策を導入することで、企業の魅力を高めることができるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ