2025年1月7日
労務・人事ニュース
茨城県の障害者雇用状況が進展!民間企業の法定雇用率達成率は45.6%(令和6年6月1日時点)
令和 6年 「障害者雇用状況報告」の集計結果を公表します(茨城労働局)
茨城労働局は、令和6年6月1日時点の県内企業および公的機関における障害者雇用状況を発表しました。この報告によれば、民間企業では障害者の雇用数が前年比で1%増加し、6,715人に達しました。しかしながら、法定雇用率を達成した企業の割合は45.6%と、昨年から5.9ポイントの減少が見られました。この数字は、障害者雇用の重要性が増している中で、企業が直面する課題の深刻さを示しています。
法定雇用率は現在2.5%であり、この達成が企業に求められる法的義務です。今回の調査では、雇用されている障害者のうち身体障害者が3,519人(前年より1.1%減少)、知的障害者が1,750人(同2.7%減少)、精神障害者が1,446人(同11.8%増加)となりました。精神障害者の雇用が大幅に増加している点は、雇用の多様化を反映しています。
また、企業規模別に見た場合、1,000人以上の大規模企業では実雇用率が2.88%に達し、法定雇用率を上回っています。一方で、従業員数が43.5人未満の中小企業では、実雇用率が2.2%前後にとどまっています。特に小規模企業では、障害者雇用の経験やノウハウが不足していることが、雇用率達成の妨げとなっています。
産業別では「卸売業、小売業」(実雇用率2.58%)と「医療、福祉」(同3.02%)が全体の平均を上回り、特に医療・福祉分野では54.2%の企業が法定雇用率を達成しました。一方で、建設業や宿泊業などでは法定雇用率を達成する企業の割合が低く、業界ごとの取り組みの差が浮き彫りとなりました。
今回の報告では、法定雇用率を達成していない企業が1,002社存在することが明らかになりました。このうち、障害者を1人も雇用していない企業は562社で、全体の56.1%を占めています。未達成企業の多くは、障害者1人の不足で法定雇用率に達していない状況にあり、こうした企業に向けた支援が求められています。
茨城労働局は、法定雇用率未達成の企業に対し、訪問指導や就職面接会の開催を通じて支援を強化しています。特に、雇用の経験が少ない企業に対しては、障害者就業・生活支援センターなどと連携し、雇用準備から職場定着までを支援する体制を整えています。また、「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」の開催など、雇用主や従業員向けの啓発活動も進めています。
公的機関においても、障害者雇用の取り組みが進んでいます。茨城県の機関では、267.5人の障害者を雇用し、実雇用率が3.54%と前年から0.29ポイント上昇しました。県教育委員会も同様に556.5人を雇用し、実雇用率は2.89%と増加傾向にあります。市町村レベルでは、全52機関中41機関が法定雇用率を達成し、未達成の11機関も年内には達成見込みです。
今回の報告に基づき、企業の採用担当者にとって重要なのは、法定雇用率達成が単なる法的義務ではなく、企業価値の向上や多様性の推進に繋がる点を理解することです。特に、障害者雇用の進展が組織の社会的評価を高めるだけでなく、従業員の意識改革や新たな価値創出に繋がる可能性があります。
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ