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2024年12月26日

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薬毒物検査拠点モデル事業の進化:最新の科学的アプローチで公衆衛生を向上

令和6年版死因究明等推進白書 第6章 死因究明のための死体の科学調査の活用(厚労省)

厚生労働省は、死因究明の効率化と精度向上を目的に「薬毒物検査拠点モデル事業」を推進しています。この取り組みは、薬毒物検査における標準品の整備や、大学法医学教室を中心とした中核的な拠点の構築を目指したものです。令和4年度から始まったこの事業は、地域ごとの特性に応じた死因究明の体制構築を促進し、公衆衛生の向上に寄与することを目標としています。

具体的には、令和5年度において1大学で試行的に運用が行われています。この事業を通じて、薬毒物検査における課題を洗い出し、標準品整備の必要性を評価するなど、科学的なアプローチによる死因究明の基盤を確立する動きが進行中です。これにより、地域ごとの死因究明体制が強化され、検査結果を基にした公衆衛生の改善が期待されています。

また、警察や海上保安庁も積極的に簡易薬毒物検査キットを活用しており、迅速かつ正確な検査体制の確立を図っています。令和5年中には、警察が取り扱った死体のうち約93.7%が薬毒物検査を受け、このうち約4.5%は科学捜査研究所等で高度な分析機器を使用した本格的な検査が実施されました。一方で、海上保安庁における薬毒物検査実施率は約15.7%にとどまるものの、地方警察や大学の法医学教室と連携しながら検査体制を強化しています。

さらに、新潟県における取り組みも注目されています。新潟大学の死因究明教育センターを中心としたネットワークでは、CTによる死亡時画像診断を活用し、犯罪死の見逃し防止に寄与しています。死亡時画像診断は、遺体にメスを入れることなく脳出血や骨折などの有無を特定する方法として、遺族の心理的負担を軽減する有効な手段となっています。この取り組みは県内33の医療機関と連携し、地域全体にわたる包括的な死因究明を実現しています。

一方で、現在の分析体制における課題も浮き彫りになっています。例えば、科学捜査研究所等で行われる薬毒物定性検査の実施率は、令和元年の6.2%から令和5年には4.5%に低下しています。この背景には、分析機器の導入や専門人材の確保が一部の地域で進んでいないことが影響していると考えられます。こうした課題を克服するため、自治体や大学、警察が連携して検査体制の充実を図る必要があります。

死因究明における科学的アプローチの重要性が増す中、企業の採用担当者としては、関連する研究分野での人材育成や設備投資を視野に入れることが求められます。法医学や薬毒物検査の専門家を育成し、分析装置の導入を支援する取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、地域社会への貢献にもつながります。また、これらの取り組みは新たな産業の創出や技術革新の促進にも寄与するでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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