2025年3月11日
労務・人事ニュース
製造業の平均月給は412,916円!前年比3.0%増で安定した賃金上昇を実現(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)製造業
令和6年の毎月勤労統計調査によると、製造業の平均月間現金給与額は412,916円であり、前年比3.0%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%をやや上回るものであり、製造業界の給与水準が緩やかに上昇していることを示している。特に、基本給の増加が見られ、業界全体として安定した賃金体系が維持されている。
給与の内訳を詳しく見ると、基本給にあたる「きまって支給される給与」は323,579円で、前年比2.5%の増加が確認されている。この増加率は、鉱業・採石業(-2.3%)や建設業(2.8%)と比較しても比較的安定しており、製造業界が持続的に賃金改善を進めていることが分かる。一方、時間外手当を含む所定外給与は29,385円で、前年比2.7%の増加となった。この数字から、残業時間の増加が見られるものの、企業によっては労働時間の適正化に取り組みながら賃金改善を図っていることが推察される。
また、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は89,337円で、前年比5.2%の増加を記録している。ボーナスの増加は、製造業の業績回復や企業の利益率向上が影響している可能性がある。特に、自動車産業や精密機械産業といった分野では、国内外の需要が回復し、企業の収益改善が進んでいる。ボーナスが増加することで、労働者にとっては年間の総収入が増えるため、業界全体として給与面での競争力が強化されることが期待される。
他業界と比較すると、製造業の給与水準は鉱業・採石業の411,892円とほぼ同水準であり、建設業の453,559円にはやや及ばない。しかし、ボーナスの増加率や基本給の安定性を考慮すると、製造業は堅実な給与体系を維持している業界といえる。特に、製造業は労働市場の安定性が高く、長期的に安定した雇用を提供する傾向があるため、求職者にとって魅力的な選択肢となる。
採用担当者にとって重要なのは、給与の増加が人材確保にどのように影響を与えるかである。製造業は他業界と比べて求人数が多く、特に技能工やエンジニアの需要が高い。しかし、労働人口の減少に伴い、若年層の採用が課題となっている。そのため、企業は給与水準の維持・向上だけでなく、福利厚生の充実やキャリアパスの明確化を進めることが求められる。
また、今後の課題として、時間外労働の適正化と労働環境の改善が挙げられる。製造業は、繁忙期と閑散期の差が大きく、労働時間のバランスが重要な要素となる。時間外手当の増加は、企業の業務量が増加していることを示しているが、労働者にとっては長時間労働の負担が大きくなる可能性がある。採用活動においては、給与の高さを強調するだけでなく、労働時間の管理やワークライフバランスの向上を打ち出すことが効果的である。
今後の展望として、製造業はグローバル市場の変動や技術革新の影響を大きく受ける業界であり、新たな成長分野への適応が求められる。例えば、自動化やAI技術の導入が進むことで、従来の技能工に求められるスキルセットが変化し、企業は再教育やスキルアップの機会を提供する必要がある。また、労働力の確保においては、外国人労働者の受け入れ拡大も重要な課題となってくる。こうした変化に対応しながら、企業が持続的に成長するためには、給与水準の向上と働きやすい環境の整備が不可欠である。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ