労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 製造業の平均月間実労働時間は156.4時間!前年比0.7時間減で働き方改革の影響を分析(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

2025年3月12日

労務・人事ニュース

製造業の平均月間実労働時間は156.4時間!前年比0.7時間減で働き方改革の影響を分析(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)製造業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、製造業の平均月間実労働時間は156.4時間で、前年比0.7時間の減少が確認された。この減少は、全産業で進む働き方改革の影響を受けていると考えられる。特に、労働時間の短縮を推進する企業が増えたことで、従業員のワークライフバランスの改善が進んでいる。

内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は143.2時間で、前年比0.3時間の減少となった。この減少は、企業が従業員の労働時間を適正に管理し、労働環境の改善を進めていることを示している。製造業では、近年の自動化やロボット技術の導入により、作業効率が向上し、長時間労働を抑制する動きが加速している。また、生産管理の精度向上により、計画的なシフト運用が可能になり、所定内労働時間の削減が進んでいる。

一方、所定外労働時間(残業時間)は13.2時間で、前年比3.6%の大幅な減少が見られた。このデータから、製造業界では残業時間の削減が加速していることが分かる。特に、大手企業では働き方改革の一環として、残業の抑制やフレックスタイム制の導入が進められている。一方で、中小企業では人手不足の影響で業務負担が増加し、残業を完全になくすことが難しい状況も続いている。そのため、企業ごとに労働環境の改善度合いに差があることがうかがえる。

月間出勤日数については、18.9日となり、前年と変動はなかった。このデータから、製造業では出勤日数の安定性が維持されていることが分かる。特に、製造業は生産計画に基づいて業務を進めるため、出勤日数の大幅な変動が少ない傾向にある。ただし、一部の企業では、週休3日制の導入を試験的に行う動きも見られており、今後の働き方の多様化に伴い、出勤日数の推移にも変化が生じる可能性がある。

企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、どのように生産性を向上させるかという点にある。製造業は、高い生産性を維持することが求められる業界であり、労働時間が減少する中でも、効率的な業務運用が必要となる。そのため、IoTやAI技術を活用したスマート工場の導入が進められ、生産管理の最適化を図る企業が増えている。

また、今後の課題として、労働時間の短縮と給与水準の維持が求められる。労働時間が減少することで、時間給ベースの給与水準が低下する可能性があり、これを補うためには成果報酬型の賃金体系の導入が必要になる。特に、技能労働者の確保が課題となっているため、給与体系の柔軟化やキャリアパスの明確化が求められる。

今後の展望として、製造業は引き続きデジタル化と自動化の進展により、生産性向上が期待される。一方で、労働人口の減少に伴い、技能労働者の確保が難しくなるため、労働環境の改善が重要な課題となる。企業は、給与水準の維持と働き方の柔軟性を両立させることで、優秀な人材を確保し、競争力を高めることが求められる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ