2024年9月8日
労務・人事ニュース
製造業の総実労働時間が前年比5%増加!採用戦略に生かすべき労働データとは?
毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
近年、労働時間や出勤日数に対する関心が高まっている中、令和6年6月の労働統計データが公表されました。このデータは、事業所規模が5人以上の企業を対象に、産業別に総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間、および出勤日数の実績を示しています。企業の採用担当者にとって、これらのデータは新規採用や労働環境の改善に向けた貴重な情報源となるでしょう。
まず、総実労働時間に関しては、前年と比較して全体的な増加傾向が見られました。この増加は、特に製造業やサービス業において顕著であり、これらの業界では生産活動やサービス提供の拡大が反映されたものと考えられます。一方で、所定内労働時間は大きな変動がなく、企業が計画的な労働時間管理を維持していることが伺えます。この安定した所定内労働時間は、従業員の健康管理やワークライフバランスの観点からも重要な指標となります。
所定外労働時間、すなわち残業時間については、業界間で差が大きく現れました。特にIT業界や建設業では、プロジェクトの進捗や納期に追われる形で残業時間が増加しており、これが総実労働時間の増加にも寄与しています。残業時間の増加は、従業員の負担を増やす要因となり得るため、企業としては適切な労働時間管理が求められます。また、過度な残業が定着している場合、採用活動においても悪影響を及ぼす可能性があるため、早期に対策を講じることが重要です。
さらに、出勤日数についても注目すべき点があります。全体として、出勤日数は前年と大きな変動はありませんでしたが、特定の業界では出勤日数の減少が見られました。これはテレワークの普及や働き方改革の影響を反映していると考えられます。特にホワイトカラーの職種では、在宅勤務の定着が出勤日数の減少に寄与しており、これが働き方の多様化を象徴しています。採用担当者にとって、こうした働き方の変化に対応した柔軟な勤務形態を提案することは、優秀な人材を引き付ける上で効果的です。
これらのデータをもとに、企業は今後の採用戦略や労務管理の方針を見直す必要があるでしょう。例えば、所定外労働時間が長期的に増加している業界では、労働条件の見直しや業務効率化を図ることで、従業員の負担を軽減する施策を検討することが求められます。また、テレワークの普及が進んでいる業界では、リモート環境でも生産性を維持できるようなシステムやサポート体制の強化が必要です。こうした取り組みは、企業の魅力を高めるだけでなく、従業員の定着率向上にも寄与するでしょう。
採用担当者にとって、労働時間や出勤日数のデータは、労働市場のトレンドを把握し、適切な採用計画を立てるための重要な情報源となります。特に、業界ごとの労働時間の傾向や出勤日数の変化を理解することで、競合他社との差別化を図るための有効な戦略を策定できるでしょう。例えば、所定外労働時間が増加している業界では、ワークライフバランスを重視した求人広告を打ち出すことで、働きやすさをアピールし、優秀な人材の獲得に繋げることができます。
また、テレワークが普及している業界では、リモートワークのサポート体制や従業員の柔軟な働き方を強調することで、特に若い世代や家庭を持つ人々に対する訴求力を高めることができるでしょう。このように、データを活用して自社の強みをアピールすることは、採用活動の成功に直結する重要な要素となります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ