2024年11月23日
労務・人事ニュース
観光業界の業績が回復基調!JTBの取扱額が前年同月比117%増加
主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2024年(令和6年)9月分)(観光庁)
2024年9月の主要旅行業者の旅行取扱状況は、対前年同月比、2019年同月比と比較して興味深い動向が見られました。海外旅行は前年同期比で約116%と増加し、国内旅行はやや減少したものの対前年同期比では94.8%となりました。また、外国人旅行の取扱額も前年同期比で約87%となり、やや減少傾向にあります。これはコロナ禍からの回復基調が続く一方で、国内外の状況に依存する旅行業界の変動性を示しています。
旅行取扱額全体では2024年9月は3,203億6,807万4千円で、前年同期比で101.4%とわずかに上昇しましたが、2019年同期比では74.7%と依然として低い水準にとどまっています。これらのデータは、コロナ禍からの完全な回復がまだ成し得ていない現状を浮き彫りにしています。海外旅行は2024年9月で約1204億9321万9千円の取扱額で、前年同期比116.2%と堅調に推移していますが、2019年同期比では約70.7%にとどまっており、コロナ前の水準には戻っていません。
企業別のデータを見ると、特に目立つのはJTBグループの強いリカバリーです。JTBの海外旅行取扱額は約300億3928万円で、前年同月比117%となっており、全体的な回復傾向が明らかです。また、エイチ・アイ・エスは海外旅行で前年同期比107%を達成し、国内旅行でも108.4%と全体的な成長が見られます。一方で、JALパックの取扱額は海外旅行で約148億5542万円と前年同期比で90.5%と減少しました。ANA Xでは前年同期比124.3%と増加しており、航空系企業の業績にも差が生まれています。
国内旅行の状況も多様であり、JTBやHISのような大手企業が依然として支配的ですが、中堅企業も順調に取扱額を伸ばしています。阪急交通社は国内旅行で約151億4570万5千円と前年同月比138.3%の成長を示しており、国内旅行市場の一部においても成長の兆しが確認できます。こうしたデータは、国内外旅行における消費者の需要が回復基調にある一方で、地域ごとの旅行需要の多様性が増していることを示しています。
この報告書からは、主要旅行業者全体の業績が徐々に回復している一方で、各社がコロナ禍以前の水準に到達するにはまだ課題が残ることが分かります。特に国内旅行市場において、移動や観光の需要が回復しつつありますが、2019年の水準に戻るにはさらに時間が必要です。これは各旅行業者がターゲットとする市場や旅行プランの工夫が求められることを意味しており、今後の戦略次第で競争が激化する可能性があります。
採用担当者が注目すべき点として、観光業界の回復に伴う雇用需要が増加していることが考えられます。特に、海外旅行部門や国内旅行部門での人材確保が重要となるでしょう。旅行取扱額が回復傾向にあるため、新たな旅行プランやマーケティング手法を構築できるスキルを持つ人材の需要も高まっていると予測されます。例えば、デジタルマーケティングやデータ分析のスキルを持つ人材は、旅行業界の競争力を高める上で重要です。また、今後インバウンド需要の増加が見込まれるため、外国人対応に強いスキルを持つ人材も求められるでしょう。企業が採用において重視すべきは、旅行者のニーズの多様化に応じた柔軟な対応が可能な人材であり、今後の市場拡大を担う人材の確保がますます重要となります。
⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ