2024年12月15日
労務・人事ニュース
観光産業回復の兆し:2024年10月の宿泊者数が6,011万人泊で20%増加
宿泊旅行統計調査(2024年(令和6年)9月・第2次速報、2024年(令和6年)10月・第1次速報)(観光庁)
2024年9月と10月の宿泊旅行統計調査結果が観光庁から発表され、国内の旅行業界が着実に回復している状況が明らかになりました。この期間の延べ宿泊者数は、それぞれ5,371万人泊と6,011万人泊を記録しました。これは2019年の同月と比較して9月が10.1%増、10月が20.1%増という顕著な伸びを示しており、新型コロナウイルスの影響からの完全な脱却を裏付けるデータとなっています。
9月の外国人延べ宿泊者数は1,238万人泊に達し、前年同月比で22.7%増加しました。また、日本人延べ宿泊者数は4,133万人泊で、前年同月比では1.8%減少したものの、2019年比では2.0%増加しています。この動向から、国内外の旅行需要が高まりつつあることが読み取れます。特に外国人旅行者数が回復しており、同期間中の外国人宿泊者の割合は総宿泊者数の約23%を占めています。
地域別の分析では、東京都、大阪府、福岡県など主要都市圏が高い宿泊需要を維持しています。特に東京都では延べ宿泊者数が8,825,230人泊と、2019年比で33.8%増加しました。一方で、地方部でも鳥取県や岐阜県など一部の地域で高い成長率が見られ、観光資源の多様化が奏功している可能性が考えられます。鳥取県では9月の日本人延べ宿泊者数が前年同月比で48.4%増加し、地方観光の需要増加を象徴しています。
また、宿泊施設別の客室稼働率にも注目すべき変化が見られます。全体の客室稼働率は9月が62.0%、10月が66.1%となり、特にビジネスホテルでは9月に75.6%、10月に80.0%を記録するなど、高水準を維持しています。この傾向は、ビジネストラベルと観光需要の両方が活性化していることを示唆しています。
外国人旅行者の国籍別データによると、中国、韓国、台湾、アメリカ、オーストラリアが上位を占めており、これらの地域からの旅行需要が特に旺盛であることが分かります。中国人旅行者の延べ宿泊者数は203万人泊で全体の20.2%を占め、韓国からの旅行者数も前年同月比で10.8%増加し、130.7万人泊に達しました。このような結果は、近年の国際的な移動制限の緩和が観光産業に与える影響を如実に反映しています。
このように国内外からの旅行需要が回復している背景には、国や自治体が進める観光振興策の成功も一因として挙げられるでしょう。特に、観光庁が推進する地域観光の活性化プロジェクトや、地方自治体が行うキャンペーンが効果を上げていると考えられます。企業の採用担当者にとって、この回復基調は旅行関連事業や地域振興に関連する職種の採用拡大を検討する好機となるでしょう。
さらに、統計の詳細分析から、地方部での宿泊需要の高まりが観光地の持続可能な発展に寄与する可能性が高まっています。例えば、山形県や福井県では新しい観光資源の活用により訪問者数が増加しており、これらの取り組みが他の地域にも波及することが期待されます。
総じて、今回の調査結果は、観光産業がパンデミック後の回復基調にあり、新たな需要創出と地域経済活性化のチャンスが広がっていることを示唆しています。観光業界に関わる企業のみならず、関連する産業にも多くのビジネスチャンスが生まれており、この流れを活用するためには、柔軟な戦略と積極的な人材投資が求められるでしょう。
⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ