2024年7月23日
労務・人事ニュース
解雇無効判決後の復職率37.4%、54.5%が復職せず
解雇等無効判決後における復職状況等に関する調査(JILPT)
2024年7月12日、解雇等無効判決後の復職状況に関する調査結果が発表されました。この調査は、解雇が無効とされた労働者の実際の職場復帰の割合などを把握するために行われたもので、弁護士を対象にアンケートを実施しました。
調査は、日本労働弁護団、経営法曹会議、日弁連およびその他の各弁護士会の労働問題関連委員会に登録している弁護士を対象に、WEB上の調査票で回答を集める方法で行われました。実施期間は令和5年10月6日から11月6日までです。
まず、回答者の所属団体別の人数は、日本労働弁護団が101人(43.7%)、経営法曹会議が65人(28.1%)、その他の団体が65人(28.1%)で、合計231人が参加しました。
調査の結果、解雇等無効判決後に実際に復職した労働者は99人中37人(37.4%)であり、54人(54.5%)は復職しませんでした。復職した労働者のうち、復職後も継続して就業しているのは30人(30.3%)で、7人(7.1%)は不本意な退職を余儀なくされていました。
復職しなかった理由としては、「復職後の人間関係に懸念」が21人(38.9%)、「訴訟で争ううちに退職する気になった」が12人(22.2%)、「労働者の復職に対する使用者の拒否が強い」が11人(20.4%)でした。また、復職後に不本意な退職をした理由としては、「使用者からの嫌がらせ」が6人(16.2%)、「職場に居づらくなった」が3人(8.1%)と報告されています。
さらに、判決で終局した労働者数185人中、裁判所から和解案が示されたものの、和解案を拒絶したのは160人(86.5%)に上りました。このうち、労働者側が拒絶したケースは72人(45.0%)、使用者側が拒絶したケースは34人(21.3%)、双方が拒絶したケースは54人(33.8%)でした。
労働者側が和解案を拒絶した理由としては、「合意退職の和解案だったが、労働者が復職を希望」が42人(34.7%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が低かった」が37人(30.6%)、「合意退職の和解案だったが、解雇無効を確信」が27人(22.3%)でした。一方、使用者側が和解案を拒絶した理由は、「合意退職の和解案だったが、使用者が金銭支払を希望せず」が14人(19.4%)、「地位確認の和解案だったが、使用者が復職を希望せず」が11人(15.3%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が高かった」が10人(13.9%)でした。
この調査結果は、労働政策審議会労働条件分科会における解雇無効時の金銭救済制度に関する審議の素材として活用される予定です。また、令和6年5月には、規制改革推進会議働き方・人への投資ワーキング・グループにおいて厚生労働省より概要が報告されました。