2024年10月1日
労務・人事ニュース
診察時間は10分未満が多数!2023年受療行動調査から見る外来患者の実態
令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況(厚労省)
2023年に実施された受療行動調査では、全国の医療機関を利用する患者の受療行動や医療に対する満足度が詳細に分析されました。この調査は、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的としており、外来や入院患者の行動や意識に焦点を当てています。
まず、調査対象は全国の一般病院を利用する外来および入院患者であり、調査は無作為抽出に基づいて行われました。調査日は2023年10月17日から19日の間で、各病院に指定された1日が調査日となりました。患者は配布された調査票に記入し、厚生労働省に郵送する方式が採られました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年の調査では、調査方法が変更されており、その際の比較には留意が必要です。
調査結果の一つとして、ふだん医療機関にかかる際の情報入手先については、外来患者の80.7%、入院患者の83.6%が何らかの情報を入手していると回答しました。最も多かったのは「家族・友人・知人の口コミ」で、外来患者の68.4%、入院患者の66.7%がこれを情報源としていました。インターネットを利用する患者も多く、外来患者の28.8%が「医療機関が発信するインターネット情報」を参考にしていることが明らかになっています。
次に、外来患者における診察までの待ち時間に関しては、「15分未満」が27.9%と最も多く、「15分~30分未満」が24.9%、続いて「30分~1時間未満」が20.6%という結果になりました。待ち時間は短時間であることが多く、特に大病院では待ち時間が長くなる傾向があることも確認されています。診察時間については、「5分~10分未満」が40.9%と最多で、次に「5分未満」が28.5%でした。
さらに、外来患者が最初に受診した医療機関に関しては、51.4%の患者が「最初から今日来院した病院を受診」と答え、27.6%は「最初は他の病院を受診」、18.8%は「最初は診療所・クリニック・医院を受診」と回答しています。特定機能病院を利用する患者では、他の病院で最初に受診したケースが多い傾向が見られます。
自覚症状に関する質問では、外来患者の66.1%が自覚症状があり、28.4%は自覚症状がなかったものの何らかの理由で受診しています。自覚症状がない場合、その理由の45.9%は「健康診断で指摘された」と回答しており、健康診断が受診のきっかけとなるケースが増加しています。
患者が医師から受ける説明の質については、外来患者の96.3%、入院患者の94.2%が「説明を受けた」と回答し、そのうち外来患者の94.5%、入院患者の91.8%が「説明は十分だった」としています。医師からの説明が不十分であったと感じた患者は少数であり、患者の多くは医療に関する説明に満足していることがわかります。
入院患者の今後の治療・療養の希望では、「完治するまでこの病院に入院していたい」と答えた患者が40.8%で最多でした。一方で、「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」という回答も35.1%に上り、在宅療養を希望する患者も少なくありません。また、特定機能病院を利用する患者の47.0%が自宅通院を希望しており、病院の種類によって希望が異なることが確認されています。
退院後の自宅療養についても調査が行われ、63.1%の患者が「自宅で療養できる」と答えましたが、19.4%は「自宅で療養できない」と回答しています。自宅療養を可能にする条件としては、40.6%が「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」、35.2%が「家族の協力」が必要としています。特に療養病床を有する病院では、介護サービスの必要性が高いとされています。
病院に対する全体的な満足度では、外来患者の63.7%、入院患者の67.3%が「満足」と答えており、「不満」と答えた患者は外来で4.4%、入院で5.3%にとどまっています。特定機能病院に対する満足度が最も高い傾向が見られ、医療機関の種類によって満足度に差があることがわかります。
このように、受療行動調査は、医療機関に対する患者の満足度や受療行動を詳細に分析し、今後の医療行政や病院のサービス改善に向けた貴重なデータを提供しています。特に、待ち時間や説明の質、療養の希望に関するデータは、医療機関の運営改善に活用されることでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ