2024年9月26日
労務・人事ニュース
資産価値が急上昇!グリーンインフラ導入で企業のブランドイメージ向上
「グリーンインフラの事業・投資のすゝめ」を公表します ~経済効果の見える化を通じた都市開発・まちづくりにおける投資促進に向けて~(国交省)
国土交通省は、令和5年9月に「グリーンインフラ推進戦略2023」を策定し、自然環境を活用した社会資本整備を通じて、持続可能な都市や地域づくりを推進するための取り組みを強化しました。グリーンインフラは、都市開発やまちづくりにおいて重要な要素となっており、その効果は経済的、環境的、社会的に多岐にわたります。これまでにもいくつかの事例が積み重ねられてきましたが、さらなる普及を進めるためには、グリーンインフラの効果についての理解を広めることが必要です。
グリーンインフラの導入による経済的な効果は、多岐にわたります。例えば、水害リスクの低減やコスト削減、生産性の向上、生活の質の向上、さらには地域経済の活性化などが挙げられます。具体的な事例として、三重県いなべ市の「にぎわいの森」や東京都町田市の「南町田グランベリーパーク」があります。これらのプロジェクトでは、放棄林の活用や商業施設の再開発により、地域の来街者数が大幅に増加し、周辺店舗の売上が増加するなど、地域経済の活性化に貢献しています。また、雨庭やバイオスウェルの設置により、雨水流出の抑制や豪雨対策にも寄与しています。
さらに、企業や不動産市場においても、グリーンインフラは資産価値の向上に寄与することが確認されています。例えば、緑地を備えた物件は、賃料が高くなる傾向があり、企業価値の向上にもつながることが示されています。具体的には、東京都心部のオフィス物件において、敷地内に緑地を持つ物件は、そうでない物件と比べて賃料が7.4%高いという結果が得られました。このように、企業がグリーンインフラを積極的に導入することで、ブランドイメージが向上し、企業価値の向上にも寄与することが期待されています。
グリーンインフラは単に環境保護に留まらず、社会的な効果も大きく、コミュニティの形成や来街者の増加、心身の健康促進にも寄与します。例えば、東京都港区の「東京ポートシティ竹芝」では、緑豊かな空間が設けられ、従業員のストレスが約12%減少し、集中力が35%向上したというデータが示されています。また、埼玉県熊谷市の「花音の森」では、植栽によりエアコンの稼働を減らし、エネルギーコストの削減に成功している事例もあります。これにより、企業は従業員の生産性向上やコスト削減といった内部的な経済価値を享受するだけでなく、地域全体の価値向上にも貢献することができます。
グリーンインフラの普及には、官民連携が不可欠です。地方自治体や金融機関、民間企業が協力し、持続可能な地域づくりを進めるためには、投資家や企業がそのメリットを理解し、積極的に取り組むことが求められます。国土交通省は、このような取り組みを支援するために、評価・認証制度を導入し、グリーンインフラを推進するプロジェクトへのファイナンスや税制上の優遇措置を提供することを検討しています。また、ふるさと納税やJクレジットといった資金調達手法の活用も推奨されています。
グリーンインフラに対する投資は、企業や地域の持続可能な発展に寄与し、長期的な経済価値を創出する可能性を秘めています。そのため、都市開発やまちづくりを行う企業や投資家は、単に短期的な利益にとらわれるのではなく、長期的な視点での投資戦略を構築することが重要です。環境や社会に配慮した開発が、結果的に企業の利益や地域の繁栄につながるという共通認識が広まることで、グリーンインフラの普及がさらに加速するでしょう。
これからの都市開発においては、自然環境を積極的に活用することが不可欠となります。気候変動の影響がますます顕著になる中で、持続可能な都市づくりが求められており、その一環としてグリーンインフラの導入が強く推奨されています。企業や投資家がこの流れに乗り、持続可能な開発に向けた取り組みを進めることが、将来の都市や地域の発展に大きな影響を与えることになるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ