2024年12月21日
労務・人事ニュース
近畿地方の景気動向分析:インバウンド需要拡大で売上30%増加の期待(令和6年11月景気ウォッチャー調査先行き)
景気ウォッチャー調査(令和6年11月調査)― 近畿(先行き)―(内閣府)
近畿地方における景気動向について、令和6年11月に実施された調査では、消費者動向やインバウンド需要、物価の影響など、さまざまな分野で異なる展望が明らかになりました。まず、家電量販店では冬季商材の売上回復が見込まれています。平年並みの気温が予測される中、暖房機器の需要が増加し、さらにブラックフライデーや年末セールによる消費拡大が期待されています。
小売業界では、インバウンド需要の増加が顕著です。百貨店では中国を中心とする海外富裕層の購買単価が上昇し、春節や年末年始の観光客の増加が売上を押し上げる見込みです。一方で、国内消費者の節約志向は根強く、ボーナスの増額が消費拡大の鍵を握ると指摘されています。
飲食業界では、高級レストランやホテルのレストランで予約数の増加が報告されています。特に、正月期間のランチブッフェでは4500円から5500円への値上げにもかかわらず、満席となる人気を見せています。一方、一般的な外食業では物価上昇による家計の圧迫が影響し、夜間帯の集客が厳しい状況が続いています。
輸送業界では、高速道路の工事完了により、車での移動が活発化すると予想されています。また、コンビニエンスストアでは欧米からの観光客による来店が5%から7%増加する見込みであり、近隣ホテルの価格上昇が背景にあります。
一方で、物価の上昇による消費者行動の変化も見逃せません。食品価格や光熱費の上昇が家計を圧迫し、生活必需品以外への支出が抑制されています。例えば、百貨店の衣料品部門では冬物衣料の売上が上向きつつありますが、消費者の選択消費が顕著です。また、スーパーでは競合店のオープンや野菜価格の高騰が影響し、売上の確保が課題となっています。
建設業や住宅販売業では、物価や人件費の上昇が大きな課題として挙げられています。新築分譲マンションの販売回復が期待される一方で、建築コストの高騰が需要を抑制しています。また、住宅展示場では顧客層の変化がみられる一方、物件価格が高騰しており、消費者の購買意欲を高めるための工夫が必要です。
観光業においては、大阪・関西万博の需要が徐々に高まっており、国内外の観光客による集客が期待されています。ただし、一部のホテルやレジャー施設では、料金の値上げや需要の鈍化が懸念されています。例えば、都市型ホテルでは春節以降の予約状況に不透明感が残る中、レストランや宴会の利用は堅調です。
雇用市場では、求人数の増加が見られるものの、採用基準と求職者のマッチングに課題が残っています。特に60歳以上の求職者の割合が高い状況が続いており、企業の採用活動における柔軟性が求められます。一方、人材派遣業界では、大阪・関西万博関連の需要に期待が寄せられています。
総じて、近畿地方の景気は分野によって異なる動きを見せています。インバウンド需要や消費者動向の変化、物価上昇への対応策が今後の景気動向を左右する鍵となるでしょう。企業においては、各業界の動きを注視しながら、消費者のニーズに応じた柔軟な対応が重要とされています。
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