2024年7月28日
労務・人事ニュース
連合 「働き方改革関連法」施行から5年:時間外労働の上限規制と有給休暇取得義務化の定着状況を調査
『働き方改革』(労働時間関係)の定着状況に関する調査2024[2024年7月19日掲載](連合)
日本労働組合総連合会(連合)は、2019年に施行された「働き方改革関連法」の労働時間ルールの定着状況について、2024年にインターネットリサーチを行いました。この調査は、15歳以上の1,000名の正社員、契約社員、派遣社員を対象に行われました。調査期間は2024年5月30日から6月3日までの5日間で、ネットエイジア株式会社が調査協力機関として協力しました。
「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の5日取得義務化、勤務間インターバル制度の導入促進が主要な改正点となっています。しかし、調査結果によれば、これらのルールの認知度には依然として課題が残っていることが明らかになりました。
まず、時間外労働の上限規制に関しては、68.9%の労働者がその内容を理解していると回答しています。一方で、年次有給休暇の5日取得義務化については76.4%、勤務間インターバル制度の導入促進については38.4%と、認知度に差が見られます。特に勤務間インターバル制度の認知度は低く、理解が進んでいないことがわかります。
36協定に関しては、49.2%の労働者がその存在を知っていると回答しましたが、これは「働き方改革」施行前の調査結果と比較して低下しています。さらに、36協定の締結に関して不適切な方法で過半数代表者が選出されている割合が5割を超えており、改善の余地があることが示されています。また、36協定を締結している職場において、自分の職場の残業時間上限を「知らない」と答えた労働者の割合が44.0%にのぼります。
時間外労働に関しては、28.4%の労働者が不払い残業(サービス残業)を行っていると回答しており、特に教育、学習支援業では50.0%と高い割合を示しています。このような状況は、労働者の権利保護の観点から重大な問題と言えます。
年次有給休暇の取得状況については、69.1%の労働者が未取得の有給休暇があると回答しており、特に建設業では77.6%と高い割合を示しています。年次有給休暇の年5日取得義務化については、その効果を評価する声もある一方で、特別休暇が減らされるなどの課題も指摘されています。労働者が有給休暇を取得しない理由としては、「急な私用のために予備的に残しておく必要があるから」が最も多く挙げられています。
勤務間インターバル制度に関しては、15.9%の職場で既に導入されている一方で、52.3%の職場では導入されていないことがわかりました。1日の仕事が終わってから翌日の仕事までの休息時間について、実際の平均休息時間は10.3時間で、理想的な休息時間は平均11.0時間とされています。
厚生労働省は、「働き方改革関連法」の5年後見直し規定等を踏まえ、労働基準関係法制の見直しを行っており、今回の調査結果はその議論において重要な指針となるでしょう。労働者保護の観点から、労働時間ルールの緩和ではなく、より一層の適正な管理と改善が求められています。
連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現を目指し、労働者の権利を守るために今後も取り組みを進めていく方針です。労働時間の適正管理や有給休暇の取得促進、不払い残業の解消など、具体的な対策を講じることが求められています。今回の調査結果は、働き方改革のさらなる改善に向けた重要なデータとなり、労働者と企業が共により良い労働環境を築くための指針となるでしょう。
以上が、2024年に実施された「働き方改革」(労働時間関係)の定着状況に関する調査結果の概要です。
⇒ 詳しくは日本労働組合総連合会のWEBサイトへ