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2024年11月21日

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週60時間以上働く雇用者の割合が5.0%!企業が取るべき労働時間短縮の次の一手

令和6年版過労死等防止対策白書 労働時間等の状況(厚労省)

日本の労働環境に関するデータでは、労働時間やメンタルヘルスの対策が注目されています。近年の調査によると、国内の労働者の年間総実労働時間は横ばい傾向にあり、令和5年には前年度比で若干の増加が見られました。労働者1人あたりの年間労働時間を通常の勤務時間と時間外勤務に分けて観察すると、通常勤務時間は長期的に減少している一方で、時間外勤務は近年増加している傾向が見られます。これは特に特定の産業において顕著で、例えば運輸業、製造業、建設業、情報通信業などは、他の産業と比較して労働時間が長くなっています。

一般労働者とパートタイム労働者の労働時間の差も明らかになっており、令和5年の統計によると、一般労働者の年間労働時間は1,962時間と2,000時間を下回り、パートタイム労働者の年間労働時間は952時間と1,000時間未満でした。これは、労働人口に占めるパートタイム労働者の割合が増加していることも影響していると考えられ、長期的に見ると、全体の労働時間の減少に寄与しているとされています。

また、特に長時間労働に従事する労働者についての統計もあります。週に60時間以上働く労働者の割合は、令和5年には5.0%で、前年度からわずかに減少しています。雇用者の年齢や性別で見ると、40代の男性が最も長時間労働の割合が高くなっており、同年代の男性の9.8%が週に60時間以上の労働をしています。一方で、女性の長時間労働の割合は20代が最も高くなっています。

過労防止のための国家政策として、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が設定されており、週の労働時間が40時間を超える雇用者のうち、60時間以上働く人の割合を令和10年までに5%以下に抑えることを目標としています。令和5年のデータでは、対象者の中で8.4%が週に60時間以上働いており、この数値は長期的には減少傾向にあります。

さらに、年次有給休暇の取得状況についても注目されています。平成10年から19年まで有給休暇の取得日数は減少傾向でしたが、平成20年以降は増加に転じ、令和4年には平均10.9日の取得と4年連続で10日を超えました。また、取得率は62.1%で前年よりも上昇しています。特に企業規模別に見ると、大企業ほど取得率が高い傾向にあり、100人以上の企業では60%を超え、30~99人の企業でも55%を超えています。

有給休暇取得率の産業別では、複合サービス事業や電気・ガス・水道業が高い一方で、宿泊業や飲食サービス業、教育・学習支援業では取得率が低い傾向があります。さらに、年次有給休暇の計画的付与制度も導入される企業が増加しており、令和5年には43.9%の企業がこの制度を導入していると報告されています。

働き方の改善策として勤務間インターバル制度の導入が進められていますが、この制度を導入している企業は令和5年の時点で全体の6.0%にとどまっています。制度を知らない企業も19.2%あり、特に運輸業や宿泊業、飲食サービス業で認知度が低い状況です。この制度は労働者が仕事と仕事の間に一定の休息時間を確保するためのもので、働き方改革の一環として導入が推奨されていますが、その認知度の向上が求められています。令和10年までには、この制度を導入する企業割合を15%以上、制度を知らない企業割合を5%未満とする目標が掲げられています。

また、国際的な視点で見ると、日本の労働者の年平均労働時間は依然として欧州諸国より長く、週49時間以上働く割合も高いことが示されています。男性の長時間労働の割合が特に高いことが課題とされています。

こうした日本の労働環境の中で、企業は健康経営の観点から、労働時間の適正化や有給休暇の取得促進、さらにはインターバル制度の導入などを通じて、労働者の健康と働きがいを向上させる施策を推進することが求められています。これらの取り組みは、単に労働者のメンタルヘルスを守るだけでなく、企業の生産性向上や離職率の低減にもつながる重要な要素であるため、持続的な改善が必要とされています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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