2025年3月11日
労務・人事ニュース
運輸業・郵便業の平均月給は386,737円!前年比2.6%増で安定した給与上昇を実現(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)運輸業 郵便業
令和6年の毎月勤労統計調査によると、運輸業・郵便業の平均月間現金給与額は386,737円であり、前年比2.6%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%とほぼ同じ水準であり、業界全体として安定した給与上昇が続いていることを示している。特に、基本給の増加が給与全体の上昇を支える要因となっている。
給与の内訳を詳しく見ると、基本給に該当する「きまって支給される給与」は323,570円で、前年比2.3%の増加が見られる。この増加率は、物流業界の人手不足が深刻化し、企業が人材確保のために賃金を引き上げていることを示唆している。特に、配送業務を担うドライバーや倉庫作業員など、現場の労働力を確保するために基本給の改善が進んでいると考えられる。
また、時間外手当を含む所定外給与は280,528円で、前年比2.9%の増加となった。このデータから、業務量の増加に伴い時間外労働が増加していることが分かる。運輸業・郵便業では、繁忙期における配達業務の増加や長距離輸送の影響で、時間外勤務が発生しやすい傾向がある。特に、EC市場の拡大に伴い、宅配便の取扱量が増加しており、それに応じて労働時間の増加と給与の上昇が進んでいると考えられる。
一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は63,167円で、前年比3.7%の増加が記録されている。この増加率は他業界と比較すると比較的安定しており、運輸業・郵便業が従業員の待遇改善に取り組んでいることがうかがえる。特に、運輸業界では、政府の「2024年問題」に対応するため、労働環境の改善を進めている企業が増えており、それに伴いボーナス支給額が増加したと考えられる。
他業界と比較すると、運輸業・郵便業の給与水準は中程度に位置している。例えば、鉱業・採石業(411,892円)、建設業(453,559円)、製造業(412,916円)と比較すると、運輸業・郵便業の386,737円はやや低めの水準である。しかし、時間外手当が他業界よりも多く、労働時間の長さが総支給額の増加に貢献している点が特徴的である。特に、物流業界では、時間外労働が常態化しているため、給与の高さが労働時間に依存する傾向がある。
採用担当者にとって重要なのは、この給与水準が人材確保にどのような影響を与えるかである。運輸業・郵便業は、ドライバー不足や配送業務の負担増加が課題となっており、人材確保のために給与面での競争力を高めることが求められる。特に、EC市場の拡大により、宅配業務の需要が増しているため、労働力の確保が今後の業界の成長に不可欠となる。
また、今後の課題として、労働時間の適正化と労働環境の改善が挙げられる。運輸業・郵便業は、長時間労働が発生しやすい業界であり、時間外手当の増加がその傾向を裏付けている。しかし、政府が推進する「働き方改革」や「2024年問題」の影響で、労働時間の短縮が求められる中、給与総額の維持が大きな課題となる。採用活動においては、給与の高さだけでなく、労働時間の適正化や福利厚生の充実を打ち出すことが、求職者にとって魅力的な要素となる。
今後の展望として、運輸業・郵便業はEC市場のさらなる拡大や自動運転技術の導入などにより、大きな変革期を迎えている。特に、ドライバー不足を解消するための施策として、労働環境の改善や、給与水準の引き上げが求められている。企業は、給与面だけでなく、働きやすい環境を提供することで、より多くの求職者を引きつけることができる。特に、若年層の確保が課題となる中で、給与水準の高さやキャリアパスの明確化を進めることが、長期的な雇用確保につながる。
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