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2025年3月12日

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運輸業・郵便業の平均月間実労働時間は165.8時間!前年比1.0時間減で働き方改革は進むのか?(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)運輸業 郵便業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、運輸業・郵便業の平均月間実労働時間は165.8時間で、前年比1.0時間の減少が確認された。この減少は、政府の「働き方改革」による労働環境の改善や、業界内でのシフト管理の見直しが影響していると考えられる。一方で、依然として全産業平均(136.9時間)を大幅に上回る水準にあり、長時間労働が続いていることが分かる。

内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は144.1時間で、前年比0.6時間の減少となった。この減少は、業界内での労働時間の適正化が進んでいることを示している。特に、大手物流企業では、配送ルートの最適化やデジタル技術の活用により、業務効率を向上させる取り組みが進んでいる。一方で、長距離トラック運転手や郵便配達員など、一部の職種では依然として厳しい労働環境が続いており、労働時間の削減が難しいケースも多い。

一方、所定外労働時間(残業時間)は21.7時間で、前年比4.2%の大幅な減少が見られた。このデータから、運輸業・郵便業界では残業時間の削減が加速していることが分かる。特に、物流業界ではEC市場の拡大により業務量が増加する中で、ドライバー不足や配送スケジュールの厳格化が課題となっている。そのため、企業は労働時間の管理を徹底し、シフト制の導入や、荷主との契約見直しを進めることで、残業時間の削減に取り組んでいる。

月間出勤日数については、19.4日で前年より0.0日と変動はなかった。このデータから、運輸業・郵便業では出勤日数が安定していることが分かる。特に、配送業務や郵便業務では、365日対応が求められるため、出勤日数の削減が難しい業界である。しかし、一部の企業では、週休2日制の導入やシフト勤務の見直しにより、働き方の多様化を進める動きも見られる。

企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、どのように人材確保と生産性向上を両立させるかという点にある。運輸業・郵便業は、労働力不足が深刻化している業界の一つであり、労働環境の改善と賃金水準の見直しが求められている。そのため、企業は給与体系の見直しや、福利厚生の充実を進めることで、人材確保に努めることが重要になる。

また、今後の課題として、労働時間の適正化と業務負担の均等化が求められる。特に、ドライバー不足が続く中で、長距離輸送の負担軽減が重要な課題となる。そのため、企業は輸送ネットワークの再編や、自動運転技術の活用など、新たな技術を導入することで、労働環境の改善を図ることが求められる。

今後の展望として、運輸業・郵便業はEC市場の成長や都市部の再開発に伴い、需要が拡大することが予測される。一方で、労働力不足の深刻化に伴い、業界全体での人材確保と労働環境の改善が不可欠となる。企業は、労働時間の適正化を進めながら、生産性を維持・向上させるための施策を強化することが求められる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ