労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 過労死防止への新たな道筋 裁量労働制下での労働負荷分析

2024年3月2日

労務・人事ニュース

過労死防止への新たな道筋 裁量労働制下での労働負荷分析

資料シリーズNo.273 過重負荷による労災認定事案の研究 その5(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

本研究は、過労死や過労による自殺など、過度な労働負荷に起因する職場での事故について、仕事の遂行や職場の管理の側面からその成因を探求することを目指しています。この研究では、平成23年度から令和元年度にかけて裁量労働制の適用を受けた労働者が経験した脳や心臓の疾患、精神的な障害に焦点を当て、労働時間や仕事の遂行状況、職場や上司による管理の仕方を検証しました。その上で、裁量労働制が労働災害の発生にどう関係しているかを分析しました。

この研究により、長時間労働やそれに伴う深夜勤務、休日出勤が長期にわたって続いていること、また、それらが業務量の増加や仕事の質の変化による過度な負担に繋がっていることが明らかになりました。精神的な障害の事例では、職場内の人間関係の問題も大きな負担となっていました。特に裁量労働制の下で働く人々は、定められた労働時間を超えて働くことが多く、業務量がみなし時間に見合わないことが指摘されました。また、労働時間の管理が適切に行われていないことも一因として挙げられました。

さらに、脳や心臓の疾患に関する労災認定事例において、長時間労働だけでなく、就業スケジュールの特徴も重要な要素として分析されました。深夜勤務が多い、勤務間のインターバルが短いなどの特徴が見られ、これらが健康への悪影響を及ぼしていることが検討されました。特に特定の業種ではこれらの問題が顕著であり、業界の慣行や営業時間などが背景にあると考えられます。

これらの調査結果から、裁量労働制を適用する際には、業務量を適切に管理し、労働時間を適正に把握することが重要であること、また、職場の管理職は労働者の負担を適切に評価し、支援を提供することが求められることが示されました。これらの調査結果は、過労死や過労による自殺を防止するための政策立案に貢献することが期待されます。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ