2025年3月11日
労務・人事ニュース
金融業・保険業の平均月給は524,040円!前年比4.6%増で高給与を維持(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)金融業 保険業
令和6年の毎月勤労統計調査によると、金融業・保険業の平均月間現金給与額は524,040円であり、前年比4.6%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%を大きく上回っており、金融業・保険業界が安定した給与水準の向上を実現していることが分かる。特に、基本給とボーナスの増加が、給与全体の上昇を牽引している。
給与の内訳を詳しく見ると、基本給に該当する「きまって支給される給与」は393,363円で、前年比3.3%の増加が見られる。この増加率は、金融機関や保険会社が人材確保のために賃金を引き上げていることを示唆している。特に、フィンテックやデジタルバンキングの成長により、新しい技術に精通した人材の獲得競争が激化しており、給与の上昇が続いていると考えられる。
また、時間外手当を含む所定外給与は366,771円で、前年比2.9%の増加となった。このデータから、業務のデジタル化が進む一方で、特定の業務領域では依然として時間外労働が発生しやすい状況が続いていることがうかがえる。特に、金融商品の開発や市場調査、リスク管理業務などの専門職は、高い労働時間が求められるケースが多い。そのため、時間外手当の増加は、業界特有の業務負担の反映とも言える。
一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は130,677円で、前年比8.6%の増加が記録されている。この増加率は他業界と比較しても高く、金融業・保険業が従業員の待遇改善に積極的に取り組んでいることがうかがえる。特に、大手金融機関や生命保険会社では、業績が好調であることを反映し、ボーナス支給額を増やす動きが顕著である。
他業界と比較すると、金融業・保険業の給与水準は非常に高い水準にある。例えば、鉱業・採石業(411,892円)、建設業(453,559円)、製造業(412,916円)と比較すると、金融業・保険業の524,040円は25%以上高く、特に基本給の水準が他業界を大きく上回っている。また、電気・ガス業(599,269円)に次ぐ高給与業種であることが分かる。
採用担当者にとって重要なのは、この給与水準が人材確保にどのような影響を与えるかである。金融業・保険業は、銀行業務、証券取引、保険販売、資産運用などの分野で高い専門性が求められるため、優秀な人材の確保が競争力の鍵となる。特に、データ分析やAIを活用した投資管理、リスク評価などの分野では、新卒採用だけでなく、中途採用の強化が必要になっている。
また、今後の課題として、労働時間の適正化とワークライフバランスの向上が挙げられる。金融業・保険業は、報酬水準が高い反面、業務負荷が大きい業界でもある。そのため、労働時間の短縮やテレワークの導入、フレックスタイム制の拡充が進められている。採用活動においては、高い給与水準に加え、働き方の柔軟性をアピールすることで、求職者にとって魅力的な環境を提供できる。
今後の展望として、金融業・保険業はフィンテックの発展やデジタル化の進展により、大きな変革期を迎えている。特に、キャッシュレス決済の普及、AIを活用した金融商品の開発、ブロックチェーン技術の活用などが進む中で、従来の金融業務に加えて、新たなスキルを持つ人材の確保が不可欠となっている。企業は、給与水準の維持・向上に加え、従業員のスキルアップを支援する制度の充実を進めることで、競争力を高めることができる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ