2025年1月1日
労務・人事ニュース
鉄道旅客輸送19億人超、前年比3.4%増加も2019年比15%減
鉄道輸送統計月報(概要)(令和6年(2024年)9月分)(国交省)
令和6年12月20日、総合政策局情報政策課が公表した「鉄道輸送統計月報」では、2024年9月の鉄道輸送状況について詳細なデータが示されています。このデータによれば、旅客輸送量と貨物輸送量の双方において、前年同月比では増加または減少の傾向が見られましたが、2019年同月比では依然としてコロナ禍以前の水準に戻っていないことがわかります。
旅客輸送に関して、総旅客数は19億2257万人に達し、前年同月比で3.4%増加しました。しかし、2019年と比較すると15.0%の減少となっており、依然として完全回復には至っていない状況です。旅客人キロ総合計では319億人キロで、こちらも前年同月比で3.5%増加していますが、2019年比では14.1%の減少が記録されています。JR旅客会社では、新幹線を含む総旅客数が7084万人で、前年同月比3.5%増、2019年比では13.3%減少しています。一方、新幹線に限定すると旅客数は2934万人、前年同月比9.1%増と顕著な増加を示しましたが、2019年比では2.1%減少しています。民間鉄道(JR以外)の旅客輸送量も1214万人で前年同月比3.4%増と回復基調を見せていますが、2019年比では16.1%の減少が残っています。
貨物輸送に目を移すと、総輸送量は295万トンで、前年同月比8.9%減少しました。貨物トンキロの総合計は14億トンキロで、前年同月比で9.9%減少し、2019年比では20.9%の大幅な減少を示しています。内訳として、コンテナ輸送は160万トン、前年同月比で9.6%減少しており、車扱輸送は134万トンで前年同月比8.1%減少しています。これらのデータは、貨物輸送における減少傾向が続いていることを浮き彫りにしています。
今回の統計データからは、旅客輸送は徐々に回復しているものの、コロナ禍以前の水準には依然として戻っていない現状が浮かび上がります。一方、貨物輸送は回復の兆しが見られないばかりか、さらなる減少が進んでいる状況です。これらの傾向は、鉄道事業における経営課題や、需要動向を的確に捉えた対策が急務であることを示しています。
鉄道事業者にとって、今回のデータは重要な指標となるでしょう。旅客輸送では新幹線が比較的堅調な回復を見せており、観光需要やビジネス需要の取り込みを強化することでさらなる利用者数の増加を期待できます。一方で、貨物輸送については、物流の多様化やトラック輸送との競争の激化が背景にあると考えられます。今後は、効率的な運行計画や新たな物流サービスの導入など、需要喚起策を講じることが求められるでしょう。
また、統計データを活用した需要予測や地域別の輸送量分析を行うことで、輸送サービスの質を向上させる取り組みが期待されます。特に、新幹線の利用促進策としては、観光地と連携したプロモーションや割引施策が有効と考えられます。また、貨物輸送においては、コンテナ輸送の強化やデジタル化による効率向上が競争力を高める鍵となるでしょう。
鉄道事業は、国民の生活や経済活動に欠かせないインフラであるだけに、今回の統計結果を踏まえた戦略的な施策が求められます。地域社会との連携を深め、輸送需要を的確に捉えたサービス提供を行うことで、鉄道輸送の魅力を再び高めることが期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ