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2025年3月10日

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鉱業・採石業の給与が22.3%増!高収入を求める求職者が注目すべき業界とは?

毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)

令和6年12月に発表された毎月勤労統計調査によると、日本の労働市場における賃金の動向には重要な変化が見られる。全国の事業所(従業員5人以上)における現金給与総額は617,375円となり、前年同月比で4.4%の増加を記録した。これは、日本経済が物価上昇に対応する形で賃金の引き上げを進めていることを示している。特に、一般労働者の給与は837,851円に達し、前年比で4.7%増加しており、パートタイム労働者の給与も130,465円と7.3%の増加を見せた。パートタイム労働者の給与の伸び率が一般労働者を上回る状況は、最低賃金の引き上げや労働力不足に伴う賃金上昇の影響を強く受けていると考えられる。

さらに、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスや一時金については、前年比6.2%増の473,387円となり、特にパートタイム労働者においては32.1%増と急激な伸びを示した。これにより、非正規雇用者に対する待遇改善が進んでいることがうかがえる。しかしながら、物価の上昇率を考慮した実質賃金を見ると、現金給与総額の実質ベースでは0.3%の減少となり、名目賃金の増加が必ずしも生活水準の向上に直結していないことが分かる。この点において、企業は単なる賃上げだけではなく、福利厚生の拡充や労働環境の改善といった対策を講じることが求められる。

労働時間に関しては、総実労働時間が136.7時間と前年比1.1%減少し、特に所定外労働時間(いわゆる残業時間)が10.1時間と2.8%の減少を記録した。これは、働き方改革の影響による労働時間の適正化が進んでいることを示している。一方で、一般労働者の総実労働時間は162.2時間で0.9%減少、パートタイム労働者の総労働時間も80.2時間で1.0%減少しており、全体として労働時間の短縮傾向が続いている。出勤日数に関しては、全体平均で17.6日と前年からの変動はほとんど見られなかったが、パートタイム労働者の出勤日数は13.7日で0.1日増加した。これは、企業が柔軟な働き方を提供することで労働力を確保しようとする動きが影響していると考えられる。

産業別に給与の増減を分析すると、特に鉱業・採石業などの分野では給与の増加率が顕著で、前年比22.3%増の823,378円となった。この大幅な増加は、エネルギー価格の変動や原材料費の高騰による利益率の改善が賃金に反映された結果と考えられる。また、建設業では前年比9.4%増の797,699円、製造業では5.3%増の797,009円と、それぞれ給与の上昇が確認された。一方で、情報通信業では前年比0.9%増とわずかな上昇にとどまり、学術研究分野や複合サービス事業も同様に低い伸び率を示した。これに対し、飲食業や宿泊業などのサービス業では、6.8%増の179,100円となり、最低賃金の引き上げや労働力不足を背景とした賃上げが進んでいることがうかがえる。

企業の採用戦略においては、これらの賃金動向が大きな影響を及ぼす。例えば、建設業や製造業では給与水準が比較的高く、安定した収入を求める求職者にとって魅力的な選択肢となり得る。一方で、飲食業や小売業では給与の伸び率は高いものの、依然として他の産業と比較して低水準にあるため、長期的な人材確保のためには、給与以外の待遇面を強化することが不可欠である。特に、ワークライフバランスの確保や、スキルアップのための研修制度の整備が重要な課題となるだろう。

また、労働時間の変化も採用に影響を与える要因の一つである。例えば、建設業や製造業では労働時間が長いものの給与水準が高いため、一定の労働時間を許容できる求職者にとっては魅力的な職場環境となる。しかし、近年の傾向として、特に若年層の労働者は長時間労働を敬遠する傾向が強まっており、労働時間の適正化や休暇制度の充実が求められている。さらに、運輸業や郵便業では残業時間が前年比5.4%減少の22.7時間となっており、これは働き方改革の影響が強く現れている分野の一つである。長時間労働の是正が進む中で、企業は生産性の向上を目指し、労働環境の改善とともに、適正な給与体系を確立する必要がある。

今後の労働市場における課題としては、物価上昇に対応した実質賃金の向上が求められる。名目賃金の上昇が続いているものの、実質的な購買力が低下するリスクが依然として残っている。このため、企業は単なる賃上げだけではなく、社員の満足度を向上させるための福利厚生の拡充や、キャリアアップ支援などを強化する必要がある。また、労働時間の適正化とパートタイム労働者の処遇改善も、長期的な労働力確保のために欠かせない要素となる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ