2024年2月28日
労務・人事ニュース
長期化するウクライナ情勢と日系企業の対応
ロシア・ウクライナ情勢下におけるロシア進出日系企業アンケート調査結果(2024年2月)侵攻より2年、日系企業を取り巻く厳しい情勢が長期化(JETRO)
2024年2月の段階で、日本貿易振興機構(ジェトロ)はロシアに展開する日本企業156社を対象に、現地での事業活動や将来に対する展望に関するアンケートを実施しました。この調査は、ウクライナ情勢による影響を詳細に把握することを目的としており、その結果は日系企業が直面している複雑な状況を浮き彫りにしています。
調査によると、過去数回の調査と比較して、業務の全面または部分的な停止を報告した企業の割合が60.3%となり、これは前回2023年5月の調査からは減少したものの、依然として高い割合を占めています。特に、全面的な事業停止を選んだ企業は増加しており、事業継続の困難さを物語っています。
事業停止の主な理由としては、企業の評判への懸念が最も多く挙げられました。また、日本や西側諸国からの制裁、本社の方針変更なども大きな要因となっていることが明らかになりました。一方で、継続して事業を行っている企業からは、ロシア市場の潜在的な成長や、将来のビジネス再開への期待などが挙げられています。
将来の事業展開については、約41.3%の企業が現状の維持を予定している一方で、撤退や休眠を検討している企業も増加しており、今後1〜2年での展望は依然として不透明です。
駐在員や現地従業員の状況に関しても、ロシア国内で勤務する駐在員を持つ企業の割合は若干増加していますが、ロシア外で勤務する駐在員を持つ企業が減少し、直接管理を強化している企業が増えていることが分かりました。また、現地従業員の減少傾向も続いており、その理由としては相互合意による解雇や自主退職が主に挙げられています。
この調査結果は、ロシア・ウクライナ情勢の影響が長期化する中で、日系企業が直面する多様な課題を浮き彫りにしています。今後の動向は、地政学的な状況や各国の政策変更、市場の需給状況など、多くの不確実性に左右されることが予想されます。
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ