2024年12月29日
労務・人事ニュース
障害者雇用が67万人を突破!最新法定雇用率2.5%の成果と課題
令和6年 障害者雇用状況の集計結果(厚労省)
2024年、厚生労働省が発表した障害者雇用状況の最新データによると、民間企業や公的機関における障害者雇用が過去最高を更新しました。この調査は、障害者の雇用促進を義務付ける法律に基づき、各事業体が報告した雇用状況を集計したものです。今年の調査では、民間企業における法定雇用率は2.5%に引き上げられ、これが雇用増加に寄与しました。
民間企業では、雇用されている障害者の数が67万7,461.5人となり、前年から5.5%の増加が見られました。この内訳として、身体障害者が36万8,949.0人、知的障害者が15万7,795.5人、精神障害者が15万717.0人と、それぞれ増加を示しました。特に精神障害者の雇用は15.7%増と顕著で、企業の対応が多様化していることがうかがえます。しかし、実雇用率は2.41%で法定雇用率を下回り、雇用促進の課題も浮き彫りになりました。
法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%と、前年より4.1ポイント減少しました。この低下は、法定雇用率引き上げの影響が一因と考えられます。規模別にみると、常用労働者40~100人未満の企業では実雇用率が1.95%と低く、特に小規模企業での雇用促進が課題となっています。一方、1,000人以上の大規模企業では実雇用率が2.64%と法定雇用率を上回りました。
産業別の状況では、すべての業種で雇用が増加しましたが、特に「医療・福祉」分野が3.19%と高い実雇用率を記録しました。この業種では法定雇用率を超えており、積極的な雇用姿勢が評価されています。一方で、「情報通信業」や「学術研究」などは実雇用率が2%を下回り、業界ごとの取り組みの温度差が課題として残ります。
また、公的機関においても障害者雇用が拡大しており、国の機関では障害者の数が10,428.0人、実雇用率が3.07%に達しました。都道府県や市町村の機関でも増加傾向が見られ、それぞれの実雇用率は3.05%および2.75%でした。ただし、教育委員会や一部の独立行政法人では、まだ法定雇用率に達していない例もあり、取り組みの強化が求められます。
特例子会社については、2024年6月1日時点で614社が認定を受けており、雇用障害者数は50,290.5人に達しました。特例子会社は、親会社の実雇用率算入が可能であり、特に精神障害者や知的障害者の雇用を促進する役割を果たしています。
障害者雇用を進めるため、厚生労働省は法定雇用率未達成企業に対し、指導を強化しています。2023年度には「障害者雇入れ計画作成命令」を219社に発出し、計画実施中の企業は502社に上りました。また、特別指導対象となった企業は33社に及び、その中から1社が企業名を公表されました。このような指導により、雇用促進へのプレッシャーが高まっています。
これらの取り組みにより、障害者が働きやすい職場環境を構築し、持続可能な雇用を実現することが期待されています。企業が積極的に障害者雇用を進めることで、多様性を活かした経営が可能となり、社会的責任を果たす姿勢が問われています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ