2025年1月9日
労務・人事ニュース
障害者雇用率12年連続過去最高!令和6年静岡県内民間企業の最新動向(令和6年6月1日時点)
令和6年 静岡県内の障害者雇用状況の集計結果について(静岡労働局)
令和6年、静岡県における障害者雇用状況が公表され、民間企業における雇用者数は14,882.0人、実雇用率は2.43%と、いずれも過去最高を更新しました。この結果、15年連続の雇用者数増加と12年連続の実雇用率上昇を達成しました。しかし、法定雇用率である2.5%を達成した企業割合は51.4%で、前年の55.4%から減少しています。この変化は法定雇用率引き上げの影響と考えられています。
民間企業における身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況も詳細に分析されています。特に、精神障害者の雇用者数は前年比13.2%増と大きな伸びを見せており、全体の雇用者増加を牽引しました。一方で、法定雇用率未達成企業が全体の約49%を占め、その中でも障害者を1人も雇用していない企業が約61%に上るという課題が明らかになっています。
企業規模別の分析では、従業員規模1,000人以上の企業が最も高い実雇用率2.63%を記録し、法定雇用率を達成しています。一方で、40~100人未満の中小規模企業では実雇用率が2.15%にとどまり、達成割合は48.4%と低水準にあります。産業別では、製造業が5,855.0人の雇用者を抱え、全体の39.3%を占めていますが、法定雇用率を超える産業は「農・林・漁業」や「医療・福祉」に限定されています。
公的機関においても、全体で2.8%の法定雇用率が設定されていますが、達成状況にはばらつきが見られます。県の教育委員会など一部の機関は未達成にとどまり、今後の改善が求められています。一方、地方独立行政法人では実雇用率が2.87%に上昇し、達成割合が85.7%に達しています。
障害者雇用促進法に基づき、雇用義務を履行しない企業には「雇入れ計画作成命令」や「特別指導」などの措置が取られています。令和5年度には8社が「雇入れ計画作成命令」を受け、2社が「適正実施勧告」を受けましたが、静岡県内での企業名公表は1件にとどまっています。
これらのデータは、企業が障害者雇用を進めるための課題を浮き彫りにしています。特に中小企業においては、法定雇用率達成に向けた支援が不可欠であり、労働局や地方自治体と連携した取り組みが重要です。また、精神障害者の雇用増加傾向を考慮し、適切な職場環境の整備や支援体制の強化も求められます。
障害者雇用は企業の社会的責任(CSR)の一環としてだけでなく、組織の多様性を促進し、従業員満足度を向上させる効果が期待されます。令和6年の集計結果は、企業がその取り組みを強化する契機となるでしょう。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ