2025年5月31日
労務・人事ニュース
離職率1.92%に減少、前年比0.08ポイント改善(毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報)
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最終更新: 2025年7月6日 22:36
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最終更新: 2025年7月6日 22:36
毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)
令和6年に実施された毎月勤労統計調査によって、全国の企業における雇用状況の詳細が明らかになりました。この調査は、事業所規模5人以上の事業体を対象に、労働者の総数、パートタイム労働者の割合、ならびに入職率・離職率を数値化したものであり、企業の採用担当者にとっては極めて有益な情報となります。今回の結果からは、労働市場の動向を俯瞰しながら、業種別に異なる課題や傾向を理解するための貴重な示唆が得られました。以下では、その主要なポイントを丁寧に解説していきます。
全体として、令和6年における労働者総数は51,021千人となり、前年から1.2%の増加が見られました。これは雇用環境が堅調に推移していることを意味し、とりわけ人手不足が続く一部の業界では、積極的な採用活動が行われていることを示唆しています。こうした雇用拡大の背景には、景気回復傾向と共に、多様な働き方への対応を進める企業の取り組みがあると考えられます。
パートタイム労働者の比率に注目すると、全体平均は31.01%で、前年比0.51ポイントの増加が記録されました。この上昇は、柔軟な働き方を求める労働者ニーズに応えるとともに、企業側が人手不足を補うためにパート人材を積極的に活用している結果とも言えるでしょう。特に「鉱業、採石業等」ではパート比率が3.27%と低水準ながら、前年比では1.84ポイントと大きく増加しており、同業界でも雇用形態の柔軟化が進んでいる様子が伺えます。一方、「情報通信業」ではパート比率が5.85%で、前年から0.63ポイントの減少がありました。これは、専門性の高い業務を担う正社員比率が高まったことによる変化と考えられます。
入職率については、全産業平均で2.02%となり、前年から0.11ポイントの減少が見られました。業種別で見ると、「情報通信業」が1.63%、「建設業」が1.35%、「製造業」が1.05%といった結果になっており、新規採用のペースには業種ごとに大きな差があることが分かります。「電気・ガス業」では1.22%とやや低めの水準となり、前年から0.18ポイントの減少が確認されました。こうした減少傾向は、採用活動の厳しさや人材の選定基準の見直しといった背景が影響していると考えられます。
一方、離職率に関しても、全体平均は1.92%と前年より0.08ポイントの減少を記録し、企業における人材定着の取り組みが一定の成果を上げていることがうかがえます。特に「情報通信業」では離職率が1.43%で、前年から0.28ポイントも下がっており、雇用の安定性が高まっていることが分かります。また、「電気・ガス業」では離職率が1.22%で、前年から0.25ポイント減少しており、長期雇用を志向する人材が定着している実情が読み取れます。対照的に、「鉱業、採石業等」では離職率が1.13%と比較的低水準ながら、入職率が0.83%とさらに低いため、慢性的な人材不足が懸念される状況です。
業種別に見ると、労働者総数の動きにも特徴が見られます。「情報通信業」は1,871千人と前年から1.6%の増加、「建設業」は2,536千人で0.9%増、「鉱業、採石業等」は12千人で0.6%の増加となっており、いずれも前向きな雇用拡大の傾向が見られました。一方、「製造業」は7,665千人で前年から0.1%の減少となり、構造的な要因として自動化や生産拠点の再編といった流れが影響している可能性があります。また、「電気・ガス業」は265千人と小規模な業界ながら、前年比では0.6%の減少となっており、業界再編やリソースの再配置などによる雇用変動が影響していると推察されます。
これらの数値は、企業の採用戦略にとって非常に重要な判断材料です。たとえば、自社が属する業界の入職率や離職率を他業界と比較することで、職場環境や待遇面に関する改善点を見出すことができます。入職率が低い場合は採用力に課題があることを示しており、採用手法やブランド力の見直しが必要かもしれません。一方、離職率が高い場合には、職場の定着環境やキャリアパス設計に対して従業員が不安を感じている可能性があり、フォローアップ体制の強化や人材育成プランの整備が求められます。
また、パート比率の増減は、企業がどのような雇用戦略を採っているかを知る手がかりになります。短時間勤務を導入することで、多様な人材の活用が可能になる一方で、業務の属人化や引継ぎの課題が発生しやすいため、組織運営とのバランスを取ることが不可欠です。とりわけパート比率の高い業界では、教育訓練の仕組みやサポート体制の強化によって、生産性の底上げと職場の安定化を図る必要があります。
現在の雇用市場では、単に人材を採用するだけでなく、いかにしてその人材を定着・育成し、戦力として活用していくかが問われています。今回の統計結果は、そのための指針を与えるものであり、自社の人事戦略を見直す絶好の機会と捉えるべきでしょう。数値の変動一つひとつが、現場の状況を反映した貴重な「声」として機能しており、それをどう読み解くかが、今後の経営力を左右する鍵となるのです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ