2025年3月12日
労務・人事ニュース
電気・ガス業の平均月間実労働時間は155.3時間!前年比0.4時間減(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)電気 ガス業
令和6年の毎月勤労統計調査によると、電気・ガス業の平均月間実労働時間は155.3時間で、前年比0.4時間の減少が確認された。この減少は、全産業で進む働き方改革や労働環境改善の影響を受けていると考えられる。特に、電力やガスの安定供給を維持する業務において、効率化が進んだことが労働時間の短縮につながった可能性がある。
内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は139.5時間で、前年比0.6時間の減少となった。この減少は、電力・ガス業界においても長時間労働の是正が進んでいることを示している。特に、スマートメーターの普及やIoTを活用した監視システムの導入により、従来の設備点検やメンテナンス業務が効率化され、作業時間が短縮される傾向にある。また、リモート監視技術の向上により、従業員が現場に常駐する必要が減少し、全体の勤務時間が削減されるケースが増えている。
一方、所定外労働時間(残業時間)は15.8時間で、前年比2.6%の増加が見られた。このデータから、電気・ガス業界では所定内労働時間が減少している一方で、突発的な対応が求められる業務においては、残業時間が増加していることが分かる。特に、自然災害や設備トラブルによる緊急対応業務が発生した際には、従業員の労働時間が増加する傾向にある。このため、平時の労働時間は削減されているものの、緊急時の対応においては依然として長時間労働が求められる場合がある。
月間出勤日数については、18.6日となり、前年より0.1日減少している。この減少は、電気・ガス業界における労働環境の改善が進んでいることを示唆している。特に、大手企業ではシフト制の見直しや、業務の分散化によって出勤日数の削減を進める取り組みが見られる。一方で、緊急対応を必要とする業務では、従業員の負担を軽減するための人員配置や労働時間の管理が引き続き課題となっている。
企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、どのように緊急対応の負担を分散しながら、効率的な業務運用を行うかという点にある。電気・ガス業界は、社会インフラを支える重要な業種であり、労働時間の短縮が進む中でも、高いサービス品質を維持することが求められる。そのため、シフト管理の最適化や、AIを活用した設備監視の強化など、業務のデジタル化を推進することで、従業員の負担を軽減する取り組みが重要になる。
また、今後の課題として、労働時間の短縮と緊急対応業務のバランスをどのように取るかが求められる。特に、電気・ガス業界では、設備の老朽化や再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、メンテナンスや保守作業の重要性が増している。そのため、適切な人員配置と、労働時間の管理を両立させることが、今後の業界の持続的成長に向けた鍵となる。
今後の展望として、電気・ガス業界はエネルギー政策の変化や環境規制の強化により、大きな変革期を迎えている。特に、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、新技術の導入が進むことで、業務の自動化が加速すると考えられる。企業は、これらの変化に対応しながら、労働環境の改善と生産性向上を両立させることが求められる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ